内容説明
勝手に他のつまらない子供に、私のなかに入ってこられるのはごめんである。か弱くも気高い、五歳の私小説。
著者等紹介
能町みね子[ノウマチミネコ]
1979年、北海道生まれ、茨城県育ち。文筆業。自称漫画家。2006年、イラストエッセイ『オカマだけどOLやってます。』(竹書房)でデビュー。ラジオやテレビなどでも活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
85
好きな事や興味の高いもので才能を開花させ、神童と呼ばれる子どもはいる。国旗の国名を全て言える、全国の駅名を路線順に言える、楽器がべらぼうにうまい。昔はそういう神童がテレビで紹介されていた。そういう才能が言語や感情に向いていたのであれば、この物語の語り手が五歳男児であっても、自分のことを「私」と言うだろうし、暗黒の幼稚園生活を「種類の違う生き物の集まり」と述べるだろう。私は小さい頃「私」のような論理的な言葉を持っていなかった。けれど子どもは的確に見抜いている。大人の秘密も、子どもの真実も、この世の仕組みも。2019/05/18
おかむら
33
生きづらさを抱えた幼稚園児。能町さんが5歳の頃の自分をモデルにした私小説、なのかな? 今の能町さんの片鱗がそこかしこに。しっかし創作とはいえよく覚えてんなー。私は幼稚園時代はおろか小学校低学年の記憶もほぼ無いわ…。2019/04/11
アコ
31
著者8冊目。「私小説です、たぶん」に期待するも、それが幼稚園時代のことだったのは拍子抜け。しかし濃厚な184ページ。なんと感性が強くて繊細、そしてクールで賢い子どもなんだろう。フルーツバスケットあったなーでもルールすら忘れてるので、自身の幼稚園時代の記憶は皆無だなと知る。狭い世界の短い期間の物語なので途中だれたのは否めないけど、最後まで読んでよかった。装丁が好み。2019/08/04
ひさしぶり
29
かつては5歳の幼稚園児を経験した大人が読むべき本かも。自分の頭の上で語られる大人の理解不能な会話や仕草、時々自分に向けられる言葉に上手く返事が出来なくて唖になる。理解されないムシャクシャに全身で抵抗してみたり。おねしょとお絵かきは分かるなあ。発表会でステージで動物の絵書いたけど人前で話せなくて袖口で代役が話して自分は口パク。お菓子の時間に「いただきます」言う前にパクパク食べて気がついて顔から火が出るほど恥ずかしかった思い。もりなつき君ほど賢くはなかったけど意外に記憶があるもんだね。2021/03/05
ayumii
29
あまりにも感受性とこだわりが強すぎて、最初はちょっと読むのが面倒になりそうだった。でも幼稚園でのあれこれがとてもリアルで、わかる感じがして、最後は胸がいっぱい。能町さんの子供の頃の写真がかわいすぎる!2019/09/18