内容説明
父の死後、年下の男に奔ったサチの母。70歳で男に捨てられ戻ってきたけど、どうも様子がおかしくて…。「母、出戻る?」避けては通れないシリアスなテーマを、ユーモアを交えて明るく綴る、全8編。
著者等紹介
群ようこ[ムレヨウコ]
1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。いくつかの仕事を経て本の雑誌社に入社し、84年『午前零時の玄米パン』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モルク
134
親の老いに直面することになった家族を描く8つの短編集。老いはある日突然やって来るものではなく徐々に少しずつ忍び寄って来るもの。それに気づいた時、またそんなはずはないと目をそむけようとした時の様子がさらりと描かれている。深刻な話だがそこを暖かく面白おかしく表現しているところがとても群さんらしい。「義父、探す」父親のボケを見たり認めることができず、世間体ばかり気にし全てを嫁に押し付ける夫にムカムカ。「長兄、威張る?」では、5人兄弟の長兄の横柄さにもだが、全てを長兄の嫁に委ねていた他の兄弟と嫁たちに現実を見た。2019/08/03
美登利
127
実際に義母が60代前半で認知症になった身として親、親戚に必ず起こるであろう介護問題。短編なので腹立つわ!いい人過ぎる!呑気だな!と思いながら読んで少し消化不良気味ではあります。しかしそれぞれの家庭によって介護は様々。される側の人の性格から症状まで同じところはないのは当たり前ですね。うちはこうだったからあなたはこうしなさいというアドバイスが当てはまるとも限らないし。なのでおかしいな?と思った時点でなるべく早くに他人(プロ)に相談することにつきます。見栄とか外聞を気にする時代じゃないですよね、切実に。2017/05/26
taiko
99
高齢家族の痴呆症に翻弄される家族達の短編集。 実父母、義父母が揃って70代半ば、かなり切実な話でした。 ただ、悲壮感が少なく、著者ならではの雰囲気で、淡々と書かれていることに救いを感じました。 各章の主人公の女性がおおらかで素敵。 遠くない未来に自分にも来ること、ここに出てくる人達のようにおおらかに老いた親たちに対していけたらいいな、いかなければならないなと思います。 昨今の介護事情も理解できました。 もしかしたらバイブルになりかねない本、とも思いながら読み終えました。2017/09/01
きんぎょっち
95
ついに、呆けた?認知症?介護??…という親を抱える子どもたちの話。まあ親が80代以上なので、子どもと言っても皆50代以上だが。著者お得意の市井のしょーもない人々を描いた短編集だが、いつもアンハッピーエンドが多いので、介護ものでそれはキツイなぁと思っていたら、一編以外はすべて悪い読後感はなかったのでヨカッタ。いい人はずっといい人、悪い奴はずっと悪い奴。面倒くさい奴もずっと面倒くさくて、ドラマなんて起こらない。それが現実だよなぁという感じで描いている。久々の群ようこ節でした。2018/07/22
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
94
83/100点 老いや介護というシリアスなテーマを、群さんらしいユーモラスな筆致で描いた8編の短編集。重いテーマの話しが続きますが、どの話しも短いため内容は浅目になり、逆にそれが重苦しくなく、サクサク読めました。どの話しも身近に感じられ面白く興味深く読めましたが、中では「長兄、威張る?」が一番面白く印象に残りました。2017/06/16