内容説明
「100歳まで頑張る」と話していた98歳の母の首に、74歳の息子が手をかけた―。これが自分だったら、一線を越えずにいられただろうか?記者が見つめた法廷の人間ドラマ29編。
目次
1 おかあが奪った息子の命(おかあが奪った息子の命;恋と凶行、追い詰めた果てに;官僚の「過ち」、妻の影 ほか)
2 「妻と娘を守る義務がある」(自転車より芸を盗んでおけば;元関脇も負けた女心と懐具合;母への思いが変わった瞬間 ほか)
3 母さんごめん、もう無理だ(まじめな医師のもう一つの心;愛情と暴力の境界でゆれた女;36年前の夫の裏切り許せず ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
292
様々な裁判を傍聴した著者の傍聴手記。犯罪は決して許される行為ではない。常識的にその事は理解できる。それを前提として、あえて思いを綴る。犯罪には二種類ある。決して同情の余地なき憎き犯罪と、同情の念を抑えられない犯罪!『ごめんね、もう育てられない』『妻と娘を守る義務がある』『母さんごめん、もう無理だ』日本は自殺大国でもあり堕胎数も多い。精神的な病と認定される人も多く介護問題は爆増に歯止めをかけられない❗小さな島国なんだよ日本は!世界の体裁を保つだけでなく、国民個々の悩みに直結する地に足ついた政治を求む‼️🙇
ろくせい@やまもとかねよし
266
「朝日新聞デジタル」連載「今日も傍聴席にいます。」からの29本の記事が収録。万引きから殺人までさまざまな裁判傍聴の記事。社会的に注目された事件も含む。ほとんどの犯意の背景は利己的なものと感じた。利己から、ルール自体を守らない、他者への迷惑を感じない、他者を殺めることを選択する。また、彼らの多くの犯意は、罰が抑制的に働かない気がした。すべての人間が共有し遵守できるルールを作ることはできるのだろうか。また、極めて特異な事故や事件から過剰なルールを作ることは本当に有効なのだろうか。人間が多様であることを実感。2019/11/08
やすらぎ 🍀安寧祈願🍀
164
この世の中、常に裁判が行われている。第三者からすると随分前の事件であっても、被害者にとっては毎日苦しみ、今日起こったかのように忘れることはできない。そこには必ず加害者が存在する。故意、不注意、親の責任、お金目当て、暴力と色々な事由がある。…順風満帆な人生はない。山あり谷あり、生きていると犯罪と紙一重の瞬間は誰にでも訪れる。加害者にも被害者にもなりうる。無かったことにしてほしい。人生は後戻りできないからこそ、丁寧に過ごしたい。他者を尊重して一歩引く。しかし辛いときに辛いと言える人がいないから苦しんでしまう。2019/07/22
いつでも母さん
132
読友さんから、そしてタイトルに惹かれて。正直私の中で『言語道断』『情状酌量』の余地など無い・・のも多々あったが、この被告に私がならないと言い切れるか?というのもあって、苦しく・重く・哀しかった。人が人を裁くのって難しいね。他人様を巻き込んでの罪はわりと冷静に読めたのだが、家族内の事件はキツいのもあって。だが現実なんだ!ほんの少し誰かに助けを求めていたら、ほんの少し誰かが気づいていたらと思うと遣る瀬無い。2016/04/02
とも
104
たくさんの事件の傍聴記録集。強い感情を目の当たりにするのが苦手なので(ノンフィクションだと特に)これなら冷静に受け止められるかな…と思って。 ただ事件の概要と裁判でのやり取り、判決なので被害者側の目線がないのが気になりました。 目にした記憶のある事件も何件かあったのだけど判決が出てるのを知らなかったりして関心を持ち続けるのは難しいなぁと思ったりしました。2017/06/24