内容説明
ただならぬ文学的ビフォア・アフター!流し台が部屋のど真ん中にある鬱陶しさよ―。犬と猫と、熱海で暮らす作家の自宅大改造。
著者等紹介
町田康[マチダコウ]
1962(昭和37)年大阪府生まれ。町田町蔵の名で歌手活動を始め、1981年パンクバンド「INU」の『メシ喰うな』でレコードデビュー。俳優としても活躍する。1996(平成8)年、初の小説「くっすん大黒」を発表、同作は翌1997年Bunkamuraドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞した。以降、2000年「きれぎれ」で芥川賞、2001年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、2005年『告白』で谷崎潤一郎賞、2008年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
109
町田康はマイブームの作家です。本作は私小説なのかエッセイなのかは微妙ですが、かなりマニアックな仕上りです。私はリフォームに少なからず接点があり、楽しめました。文章だけでなく、図面やビフォー・アフターもあったら、より良かったのではないでしょうか?但し、町田康やリフォームに全く興味のない人には、絶対オススメしません(笑)2016/04/27
スパシーバ@日日是決戦
98
{2016年} PR誌「星星峡」「ポンツーン」に掲載されたものの書籍化。「私はどんな不具合を解消としてリフォームを始めたのか? 人と寝食を共にしたい居場所がない2頭の大型犬の痛苦。人を怖がる猫6頭の住む茶室・物置小屋、連絡通路の傷みによる逃亡と倒壊の懸念。細長い大人気キッチンで食事をする苦しみと悲しみ。ダイニングの寒さ及び暗さによる絶望と虚無」。寝られりゃいい、変な隣人がいたら即座に引っ越しなどのメリットを考えると、マイホームに拘りがない(長期に亘るローン返済もある)小生には、この手の悩みとは無縁。2017/01/06
おいしゃん
73
町田さんの自宅リフォーム記。というと、とても平和なエッセイに見えるが、町田さんなのだから決してそんなことはなく。現実と空想と虚構の間を彷徨う文体、かつ住居の状態が極めて正確に書かれているにも関わらず、ちっとも想像できない、という貴重な読書体験。2016/07/18
そうたそ
51
★★★☆☆ 邸内の様々な不具合を解消すべくリフォームしようと決断するに至ってから、実際にリフォームを進めていくまでを描くエッセイであるが、町田康が書くゆえに普通のエッセイであるはずもなく、とにかく勢い良く書かれる文章に時に笑わされ、時に混乱させられ、ただただついていくのみ。家の間取りが文章内で説明されるのだがどうにも分かり難く若干読み飛ばした感はあるのだが、そういう意味で多少の不都合はあろうとも最早読んでいるだけで面白い。内容云々というよりも、この文章と著者の笑いのセンスを好きになれるかどうかだと思う。2016/09/28
Y2K☮
35
ただのリフォーム小説ではあらない。この方は「平成の30冊」で第3位に選ばれた「告白」の著者である。村上春樹やカズオ・イシグロといった世界的文豪と肩を並べている。だがそんな大物感はゼロに等しい。というかゼロ。記録と妄想が入り混じった私小説風カオスが平常運転。あきゃーん。おほほほほ。虚言妄言のウォール・オブ・サウンドを脳内で引っぺがしたらボリュームは半分以下だろう。しかしそれではただのリフォーム体験記であり、実用的でこそあれ面白くも何ともない。太宰治も書いたように文学とは無用の用。実用性の裏に潜む真実の看破。2019/04/14