内容説明
銀座のシチュー。町角のジューススタンド。空港のかつサンド。居酒屋の煮込み。浪花の豚まん。東神田の立ち食いそば…。愛される味の秘密をメニューの行間から引き出す、とびきりおいしいノンフィクション。
目次
シチューと煮込み
道頓堀の品書き
ちょっと大衆酒場で
キッチンカーでランチを買う
かつサンドの秘密
夢のかたち
だからジューススタンド
そこに立ち食いそばがあるから
「立ち食いそばには『ナンバーワン』がない」―大衆そば研究家・坂崎仁紀氏に聞く
趣味のお茶漬け
新橋駅前の楽園で
ホットケーキとパンケーキ
豚まんが愛される理由
黒板と筆ペン
著者等紹介
平松洋子[ヒラマツヨウコ]
エッセイスト。東京女子大学文理学部社会学科卒業。国内外の料理や食、生活文化などをテーマに幅広く執筆活動を行っている。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞、『野蛮な読書』で第28回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
66
「メニューは文学である」小料理屋や割烹にある手書きのメニューに文学の匂いを、一編の詩を嗅ぎとり、その先の物語を連想し楽しむ。壁にずらりと整列したお品書きの札。常夜灯がぬくい明かりを灯して呼び込む軒下。肩を並べて横並びの立ち食い店。高級なお店で1品1品サプライズに富んだ食事を楽しむのも素敵だし、猥雑で活気のあるパワー溢れた懐深い食事もこれまたたまらない。まだ知らぬ料理でも、食感を感じ、口の中いっぱいに幸せの香りと幸福感が広がり充満する。平松さんの文章は、目に、心に、心地いい。2015/12/16
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
58
読書をするように、メニューを読む。洋食屋の、居酒屋の、フルーツパーラーの、立ち食いそば屋の、ジューススタンドのメニュー。印刷されたものも、黒板に書かれたものも、紙に書かれた短冊状のものも。良い店の良いメニューは食べる前からお客をわくわくさせてくれる。2016/11/24
あじ
58
「食べ物」ほどプロと素人の筆力の差が、歴然とする題材はない。平松さんの文章は目で味わう料理であり、脳が実際に食したと錯覚してしまうほど語彙が豊穣だ。味蕾が咲き乱れ、多幸感いっぱいの食後が何度も体験できる。立ち食いそば屋のスタンドで、だし場(出汁BAR)のカウンターで『味なメニュー』を前に座り込み。また次も【平松】に寄らせて頂きます。ここの料理は三方よしですから。2015/12/30
ユメ
46
カバー写真の「甚六」のメニューに惚れ惚れ。メニューを読むことは読書と似ている、という平松さんに激しく共感した。私も、メニューを読むことが大好きだ。一品一品が美味しそうであるかはもちろんのこと、取り合わせ、配列も非常に重要で、自分はこの中からどれを選んで食事を組み立てるか、ということをわくわくと考えさせてくれるメニューがいい。書き手の人柄が滲む手書きのメニューは尚よい。メニューを読むあいだ、人はほんの少し先の未来を思い描く。「メニューは文学である」「メニューには、物語の始まりがある」平松さんの主張は至言だ。2018/01/03
ホークス
44
飲食店のメニューに着目したエッセイ。壁一面に貼られた短冊、黒板の日替り品、歴史の色がついた木札には、店主の拘りや従業員の創意が生きている。過去の思い出も含め、本書の眼目である。ジャンルを深掘りした話も読みどころだ。都心のランチ屋台をメジャー化したのは、OLの欲求に寄り添った人達の情熱と冷静なロジック。坂崎仁紀氏と探究する立ち食いそばの世界は、まだまだ奥が深そうだ。概して低価格なものほど興味深い。関東煮の老舗、道頓堀「たこ梅」は明治時代の様な見事な外観。復活させた主人の真摯な取り組みにぞくっとした。2018/12/31
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- 和書
- 讃岐路殺人事件 角川文庫