内容説明
15年前のサマーキャンプに参加した27歳の男女5人が、キャンプ主催者の遺言執行者と名乗る女性弁護士に突然集められた。この中の1人が遺産31億円の相続資格者だと言うのだ。「“或る事”をした者」という以外故人が明確にしなかった該当者確定のために、5人はキャンプの詳細をレポートにするよう求められる。事実を捻じ曲げて独り占めしようとする者、分割して相続することを望む者、少額でも掠め取ろうと謀略を練る者、端から関心がない者…。莫大な遺産への欲望に差はあるものの、5人は遠い夏の記憶を手繰り寄せる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
26
最後まで読んで序章とタイトルの意味がわかる。長い長い物語だったが展開が気になって夢中で読んだ。小学生の時サマーキャンプに参加した27歳の5名が集められる。弁護士にこのうち1人がキャンプ主催者の遺産31億円の相続者になるといわれる。当時の経験を細かく手記にしろと言われ、彼らは記憶をたぐり寄せ始める。2章では弁護士の素顔が明らかに。頭の中で勝手に記憶が作られている、思い込みは怖いと思った。嘘の記憶がなければこんなことにもならなかったのに。二人は互いに罪を償い合って生きていくのだろう。苦しいけど前向きなラスト。2020/06/20
ちろたろう
22
思い込みと自分の感情をコントロールするのは難しい。負の感情ほど強く残り続け、切り替えられれば楽になるのに、それがいつまでたってもなかなか出来ない。2018/11/24
りちゃ
6
もっと、ミステリアスな展開を期待してしまったため、ちょっと拍子抜け。タイトルがとても意味深なので、かなりワクワクしながら読んでいたのだが・・・。冒頭のシーンも正直、あまりぴんとこない。結局、めでたしめでたしなの?2015/09/28
Dr.strangelove
5
子供騙しのようにも思える誘い文句はまるで行き先不明だが、ちょっと乗ってみようかなと思わされてしまう。計略の杜撰な感じには意味があるし、不思議にリアリティのある様なさじ加減が何とも上手い。人間の行動には常に整合性がある訳ではない。それぞれの心情の頑なさと揺らぎ、変化する様も面白かった。2020/07/28
〇大福〇
5
図書館でタイトルに惹かれて読み始めた。遺産を相続するのは誰なのか、誰の記憶が間違っているのかと気になりながら読み進めたが、後半そうきたかーとなんとも言えない気持ちに。誰でも記憶なんて疑わしいもの、と言うことなのだろうが。疋田が選んだ道や、相生の動機に違和感を感じる。設定はとても面白かった。2018/03/20