内容説明
「ささがね」という蜘蛛に掛かる枕詞がある。この枕詞は語義不詳とされ、時代が降るにしたがって、蜘蛛の異称と考えられるようになった。しかし、タミル語でこれを解釈すると、実に適切な意味があぶり出される。本書は古典に残るこれらの未詳語を中心に、タミル語でこれを解釈すると、いかに合理的に理解できるかを指摘したものである。
目次
第1章 日本語タミル語説で見えないものが見えてくる
第2章 地名の由来がわかるタミル語による枕詞の解釈
第3章 古廃語としての枕詞
第4章 やすみしし大王と大王の都
第5章 見事な技巧を駆使した歌
第6章 日本語クレオールタミル語説の現状
第7章 「豊」が積み重なってできた日本語数詞
補章 k/t交替、特にタミル語kai(手)と日本語te(手)の対応について
著者等紹介
田中孝顕[タナカタカアキ]
1945年國學院大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
81
ん、トンでも本かな? お正月には合ってたかな。。元旦タミール映画(踊るマハラジャ)の時季もあったから。 日本語はクレオールタミル語である! クレオールてとこがポイント ん~。 ちょっと面白かったのは、複数男性に求婚されて入水自殺する伝説。手児奈=タミル語tekkan-ai;神への捧げもの 駿河=curr-u波立つ+ka-n場所2021/01/04
isao_key
7
著者の田中孝顕氏と言えば、ナポレオン・ヒルの紹介者として一般的には認識されていると思っていたが、ドラヴィダ語、タミル語にも造詣が深く、辞典や入門書も執筆している。きっかけとなっているのは、30年前に提唱された大野晋博士の日本語クレオール語説を肯定的に裏付けする試みを、30年間誰一人としてやっていなかった。著者はこの説を直観と理論の帰結として正しいと確証し、日本語をクレオールタミル語として捉え、このクレオール語の母語であるタミル語から、日本の上代文献に出てはいるが意味不明な語を中心に、未詳語の解読を行った。2017/02/27
ishilinguist
1
タミル語説論者のセクト機関誌。クレオール説での一点突破戦術に切り替えたようだが、裏をかえせば比較言語学ではタミル語と日本語の関係は証明できないと認めた敗北宣言だろう。そのクレオール説なるものも実態は不明瞭でなぜそんなものを持ち出すのかも謎。相変わらず屁理屈やこじつけばかりで、日本語とタミル語の関係を証明したというが、こんな理屈が通ればどんな言語間の関係もこじつけられる。本書によっていっそう「日本語とタミル語の関係は証明できない」ことが明らかになった。筆者もあまり誉められた商売の経歴をお持ちでない方のようだ