内容説明
その記憶が、私に、光をくれた―。同乗したバイクで事故に遭い、恋人を亡くした泉美はその時の記憶をどうしても思い出すことができない。失われた「彼の最期」を取り戻すため、泉美は弁護士の真希子に、事故の調査を依頼する。やがて明らかになる泉美の記憶。それは、心を射抜くような苦しい真実であった。大型新人の鮮烈なデビュー長編小説。
著者等紹介
河原れん[カワハラレン]
1980年東京都生まれ。96年ボストン・ニューヨークに留学。上智大学(国際政治学専攻)卒。在学中は弁護士を志すも挫折し、卒業直前に小説に傾倒。3年かけて初の長篇小説である『瞬(またたき)』を仕上げる。執筆活動のかたわら映画企画を多数立ち上げ、映画版「瞬」の脚本も担当している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
26
美しくて残酷で・・・もしも自分だったら・・・と主人公の心に自分の心を寄り添わせてみました。大切な人がスーッと自分の前から消えてしまう・・・今までいつも繋いでいたはずの手すら繋げなくなる・・・。悲しいけど前に進もうとしている姿が痛々しい。ラスト・・・喜んでいいのかどうなのか・・・母親目線ではちょっと戸惑う部分でもありました。命が受け継がれていく・・・う~ん。とても突っかかることなく主人公の日記でも読んでいるような感じでした。2010/10/27
べる
17
「花は人の淋しさや悲しみを吸い込むと枯れてしまう、可憐で優しい生きもの。」お花屋さんに事故後一ヶ月で復帰しても主人公の悲しみは呼吸が上手くできなくなるほど根強く残る。感情や感覚を見せられなかった自分を大きく変えてくれた彼のことを回想する幸せの場面が、結末が分かるからこそ愛おしくて胸が痛かった。消えた記憶を取り戻すことが辛いことだと分かりながらも弁護士に依頼して過去と向き合っていく。彼の番号を短縮ダイヤルにしていた点などに時代性を感じて懐かしく思いなが読了。予想できる結末ではあったけど涙が出てしまった。2024/11/04
氷風
11
えっ・・・。正直ここまで引っ張っておいてそれだけってオチだったんですけど。個人的には。というよりよく携帯小説とかでありがちなパターンで。映画化もされたからもっとどんでん返しがあるかと思って頑張って読んでいたのに。わたしのドライの性格も関係して、切なさよりも客観的に見てしまってちょっと感情移入できませんでした。2012/01/20
かな。
9
映画のあらすじを何かで読んでミステリーだと勘違いしたのがそもそもの間違いでしたね(汗)。付き合い始めた頃からのエピソードは微笑ましい。又、亡くなった彼の、彼女への想いの強さにちょっとウルッときたものの、先が読めてしまったので、ウーン…。風景の描写が多いので映像化したものはきっと素敵だと思います。2010/06/16
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
9
同乗したバイクが事故にあい恋人が亡くなった。一人残された彼女はその最期の瞬間の記憶を求めて・・。恋人を喪ってしまったという苦しみが丁寧に描かれています。特別大きな驚きが用意されているわけではないけれど、全体的な雰囲気は好き。文章のリズムが心地よかったです。ラストが出来すぎかなとも思いましたが、救いがあってよかったです。★★★★2010/05/17