出版社内容情報
【本書の特徴】
本書ではおもにロボットの運動計算理論に焦点をあて,日本語のロボティクスの教科書では扱われることが少ない6次元の速度,加速度,力のベクトルの演算を用いることでロボットの運動学,動力学の計算理論を体系化することを目指す。剛体の回転と並進の運動を合わせた6次元のベクトルを空間ベクトルと呼び,これによってArticulated Body Algorithm (ABA) のような高速な計算アルゴリズムを見通しよく記述できる。このような高速なアルゴリズムにより,ロボットの将来の状態を繰り返し予測することが可能となり,ヒューマノイドロボットのような大自由度を有する複雑なロボットにおいても非線形モデル予測制御が実時間に近いスピードで適用されつつある。また,アルゴリズムの高速化はGPU 上での並列実行によって加速され,現在では,GPU を搭載したラップトップPC 上においてヒューマノイドロボットの二足歩行制御器を強化学習により数十分~数時間程度で学習することが可能となりつつある。
強化学習や最適制御を筆頭に,近年,特に2020 年代以降ではロボットの制御は「運動を最適化する」問題として一般化された形で解かれつつある。このようなロボットの運動の最適化には,評価関数の勾配を計算する必要があり,そのために必要な解析的微分を計算する枠組みを提供するシミュレータは「微分可能な」シミュレータと呼ばれる。本書では発展的内容として位置・速度・加速度の計18次元の運動を包括的に扱う枠組みやそれを用いた運動最適化,ソフトロボットの力学モデルへの応用例等についても解説する。
【本書のキーワード】
ロボティクス,運動学,動力学,リー群
【主要目次】
1.ロボットの機構と運動計算の基礎/2.順運動学/3.微分運動学/4.逆運動学/5.剛体リンク系の運動方程式/6.ニュートン・オイラー運動方程式と逆動力学計算/7.順動力学シミュレーション/8.ロボット制御の基礎/9.最適化のための包括的運動計算と剛から柔への展開
【目次】
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.ロボットの機構と運動計算の基礎
1.1 ロボットの機構
1.1.1 関節とリンク
1.1.2 多リンク系
1.2 平面2自由度マニピュレータを例にとって
1.2.1 順運動学
1.2.2 逆運動学
1.2.3 ヤコビ行列と特異姿勢
1.3 本書で用いる記号
章末問題
2.順運動学
2.1 座標系による多リンク系の運動の記述
2.1.1 世界座標系と局所座標系
2.1.2 姿勢行列とSO(3)
2.1.3 座標変換と相対姿勢
2.1.4 同次変換行列とSE(3)
2.2 運動の自由度と一般化座標
2.2.1 自由度と一般化座標
2.2.2 剛体の自由度と一般化座標
2.2.3 対偶の自由度と関節変位量
2.3 運動学
2.3.1 順運動学
2.3.2 コンフィグレーション/タスク空間と冗長性
2.4 姿勢のそのほかの表現方法
2.4.1 オイラー角
2.4.2 剛体回転に関するオイラーの定理
2.4.3 単位クォータニオン(オイラーパラメータ)
章末問題
3.微分運動学
3.1 角速度ベクトル
3.1.1 角速度ベクトルとso(3)
3.1.2 SO(3)とso(3)
3.1.3 局所座標系から見た角速度ベクトル
3.2 速度に関する順運動学
3.2.1 座標系間の角速度・並進速度の変換
3.2.2 空間速度とse(3)
3.2.3 多リンク系の空間速度の計算
3.3 ヤコビ行列
3.3.1 ヤコビ行列と微分運動学
3.3.2 基礎ヤコビ行列
3.4 リー群
3.4.1 群と多様体
3.4.2 リー群とリー代数
3.4.3 随伴表現
章末問題
4.逆運動学
4.1 逆運動学と特異姿勢/冗長性
4.1.1 逆運動学と微分逆運動学
4.1.2 特異姿勢と冗長性
4.2 微分逆運動学
4.2.1 微分逆運動学の解
4.2.2 特異姿勢にロバストな微分逆運動学
4.3 逆運動学の数値計算
4.3.1 ニュートン・ラフソン法による逆運動学
4.3.2 非線形最適化による逆運動学
章末問題
5.剛体リンク系の運動方程式
5.1 ラグランジュの運動方程式
5.1.1 ラグランジュの運動方程式の概要
5.1.2 運動エネルギーとポテンシャルエネルギー
5.1.3 空間レンチとオイラーの運動方程式
5.2 剛体リンク系のラグランジュの運動方




