出版社内容情報
【内容紹介】
フェーズドアレーアンテナは、電波の送受信方向を電子的に変えることができる、すなわち電子的なビーム走査が可能な高機能なアンテナである。元々防衛用レーダ向けに用いられてきたアンテナであるが、近年では衛星通信や移動体通信など適用範囲が拡大している。そのため、フェーズドアレー技術は、その開発に携わる人だけでなく、レーダや無線通信を専門とする人にも知っておいて頂きたい技術と筆者は考えている。
フェーズドアレーのビーム走査は、アンテナを構成する各素子アンテナの励振位相を変えることにより行われ、原理としては非常に単純である。しかし、実際のハードウェアとして、これを実現するためには多くの技術が必要である。アンテナ技術、マイクロ波回路技術(受動回路、能動回路)、制御回路技術(アナログ、ディジタル)、電源回路技術、熱・機構設計技術、高周波測定・評価技術等が必要である。まさに、エレクトロニクス技術の集大成ともいえるのがフェーズドアレーである。これら全てを網羅的に解説するのは不可能であるが、本書ではシステム要求からフェーズドアレーの全体的な装置規模(素子数や素子配列等)や各コンポーネントへの機能・性能配分を決めるサブシステム設計に焦点を当てている。具体的には、フェーズドアレーの放射特性に関係する理論を中心に解説するが、アレーファクタによる理想的な議論だけでなく、素子間相互結合、励振誤差解析、キャリブレーション技術といったハードウェアに関する技術についても解説する。これらの理論は初級の範囲を超えるものであるが、フェーズドアレーを実際のハードウェアとして実用化するうえで不可欠な技術であり、是非とも理解をしていただきたい内容である。
【本書を特に読んでほしい読者】
電磁波工学、無線通信、電波によるリモートセンシングを専門とする大学学部生、大学院生、研究者。アンテナや各種電波システムの開発を担当する企業のエンジニア。
【本書を読む前にあると望ましい前提知識】
マクスウェルの方程式や波動方程式といった電磁波工学の基礎を学習した経験があることが望ましい。必ずしも、アンテナの専門家である必要はない。
【本書を読むことで得られる知識・できるようになること】
フェーズドアレーアンテナの放射特性に関係する理論全般だけでなく、フェーズドアレーアンテナを実用化するうえで押さえておくべき理論や技術を理解することができる。
【本書の特徴・工夫した点】
マクスウェルの方程式からはじまる基礎理論から、実用化に必要な高度な技術まで幅広く解説している。理論の解説では式の導出を付録に記載するなどして、できるだけ天下り的な記述は避けるとともに、理論が示唆する物理的な意味を理解できるような解説を心掛けた。
【関連キーワード】
アンテナ、アレーアンテナ、フェーズドアレー、放射パターン、アンテナパターン、指向性合成、ビームフォーミング、グレーティングローブ、素子間相互結合、キャリブレーション
【目次】
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.フェーズドアレーアンテナとは?
1.1 フェーズドアレーの構成と機能
1.2 フェーズドアレーの歴史
1.2.1 1900年代初頭
1.2.2 1930年代
1.2.3 1940年代
1.2.4 1950~1960年代
1.2.5 1970年代以降
1.2.6 1990年代以降
1.3 フェーズドアレーの開口設計
1.4 本書の構成
2.アレーアンテナの基礎
2.1 アレーアンテナの遠方界放射パターン
2.1.1 電流源による遠方界放射パターン
2.1.2 アレーアンテナの遠方界放射パターン(パターン乗積の原理)
2.1.3 極座標系(θ-φ座標系)でのアレーファクタ表現式
2.1.4 AZ over EL座標系でのアレーファクタ表現式
2.1.5 EL over AZ座標系でのアレーファクタ表現式
2.2 リニアアレーアンテナ
2.2.1 等振幅等位相のリニアアレー放射パターン
2.2.2 ビーム走査
2.2.3 リニアアレーのグレーティングローブ
2.2.4 等振幅リニアアレーの指向性利得,サイドローブレベル,ビーム幅
2.3 指向性合成
2.3.1 低サイドローブ化(1)―チェビシェフ(Chebyshev)分布
2.3.2 低サイドローブ化(2)―テイラー(Taylor)分布
2.3.3 フーリエ級数法
2.3.4 直交ビーム合成(Woodward-Lawsonのサンプリング法)
2.3.5 非線形最適化手法による電力指向性合成
3.平面アレーアンテナ
3.1 平面アレーアンテナのアレーファクタ一般式
3.2 4角配列平面アレーの放射パターン
3.3 任意周期配列平面アレーの放射パターン
3.4 グレーティングローブチャート
3.5 平面アレーの指向性利得
3.6 4角配列平面アレーと3角配列平面アレーの比較
3.7 3角配列の注意点と素子配列設計方法
3.8 密度テーパ・素子間引きによる低サイドローブ化
3.8.1 確率過程による素子間引き設計手法
3.8.2 確定的素子間引き設計手法
3.8.3 遺伝的アルゴリズムによる素子間引き設計手法
4.素子間相互結合
4.1 素子間相互結合を考慮したアレーアンテナ解析モデル
4.2 相互インピーダンスの計算例とその性質
4.3 アクティブ反射係数
4.4 素子間相互結合を考慮した素子アンテナ設計・解析手法
4.5 アクティブ反射係数とアレー素子パターンの関係
4.6 グレーティングローブによるスキャンブラ



