感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
paluko
11
松風の帖(明石の上、源氏との間に生まれた娘を伴って上京)に始まり、まぼろしの帖(紫の上に先立たれた光源氏が身辺整理をする)で終わる。いわゆる宇治十帖は紫式部とは別人の作という説もあることを紹介し、楓刀自の講義ではなく熱心な生徒である容子が刀自に質問しながらまとめた「容子のノート」というかたちで駆け足気味に。自身も源氏物語の現代語訳を手がけている田辺聖子によるあとがき「明快さと気品の現代語訳」を付す。2024/04/22
練りようかん
10
孫の三姉妹と隣に住む夫人のために開く源氏講義。恋に焦点を絞り大胆に抜粋、わかりやすさを前面に出した物語内で語られる源氏という設定でアンチになったり贔屓したり率直な反応が楽しく、意見や質問をしてたのが下巻もだいぶ進むと息をひそめて展開に集中してるのがわかって、物語が彼女たちの心に何を落としているのかを想像させられる。物語を読むとは文字を読むのではないのよ、そんな声が聴こえてきた。そして季節の風景描写、しつらえや茶菓子、鳩居堂の“梅ヶ枝”のお香が雅で上手い導入だった。セッティングが大事だなと改めて学んだ。2024/12/26
えつ
9
ようやく下巻も読めた〜。上巻に比べると進みが早くて、全然違う雰囲気だったかな。でも、わたしは下巻のほうが読みやすさはあったかも。途中で鮎子がアメリカ留学に行ったり、高倉一家が疎開先の鎌倉から東京に戻ることになったり、急展開。楓刀自の源氏物語の講義も物語も駆け足駆け足〜!!!最後の宇治十帖は容子のノートだったけど、容子ががんばってまとめてるから簡潔で、これはこれで読みやすかったし、分かりやすかったかな。でも、せっかくなら楓刀自の講義で読みたかったなぁ。 何はともあれ、読み応え抜群の上下巻でした。2024/05/28
めめ
2
巻末の解説が田辺聖子さんなのも嬉しい。吉屋信子らしい、上品で、計算された、読みやすくまとめられた源氏物語。現代(と言っても戦後だけど)の祖母が孫達に源氏物語を語って聞かせるという筋立てで、源氏物語だけでなく、祖母と孫達の物語も気になる二重構造になっていて面白い。改めて、源氏物語は紫の上が主人公のような物語だなあと思う。登場人物の環境や性格など、キャラが立っていて様々に感じさせられる。ボリュームのある一冊でした。2024/12/11
くりたろう
0
光る君へ2024/11/08