著者等紹介
山野辺太郎[ヤマノベタロウ]
1975年、福島県生まれ。宮城県育ち。東京大学文学部独文科卒業、同大学院修士課程修了。2018年、「いつか深い穴に落ちるまで」で第55回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかじ
29
固体として、個体としての人間を世界へと還元する。境界線を溶かし、「こんとん」へ、「白い霧」へ、人間は変化していく。それは滑稽でもありながら切なく、そして語り手からすれば切実な変化だ。些事まで描き切る描写、結びついていくイメージは端正で、かつ現代的とも言える。 読者の期待の地平を裏切り続けてゆく素晴らしい作家の手腕が光っている作品だ。2024/05/03
押さない
5
10/10 『こんとんの居場所』 開始わずか1ページで純一のだらしなさがよく伝わってくる力量。千夜子の誘惑を見て見ぬふりしあくまで菜摘への思いを貫こうとする無駄な努力がいじらしい。個がなくなり全体《こんとん》に溶け共同意識で錯乱した会話シーンが最高だ。 ちらつく切ない恋心や園田先生の父との会話は、シュールグロテスクな状況に反して純粋さがいっそう際立つ。 綿飴チョコ・甘栗・ラフレシア・一皿100円イカになって会いに行く・バナナは皮ごと食べるよ 2024/04/08
鷹野郷 善後
4
表題作を含む2編の中編小説。文字通り混沌としていた。理不尽とも言えるが、不思議な世界観。世にも奇妙な物語的とも言えるが、どちらの作品もノホホンとした展開ながら、皮肉や社会風刺なども盛り込んである。出てくる登場人物たちも不思議な人たちが多かった。2023/08/01
chuji
4
久喜市立中央図書館の本。2023年4月初版。初出『こんとんの居場所』 「小説トリッパー」2020年秋季号(朝日新聞出版)、『白い霧』書き下ろし。山野辺さんの著作は三作目の読了です。地に足のついていない、実態の無さそうな譚、嫌いではありません。2023/06/28
jolly
4
これはおもしろい。どっちもよかった。想定外にSFだったけど、こういうSFが大好物。期待値ゼロで読むのはやっぱり大事。パムッ。2023/06/22