内容説明
井上円了は、一八九〇年(明治二十三)年から、一九一九(大正八)年に周遊先の中国大連で講演中に急死するまで、三十年にわたって日本各地や満州・台湾・樺太などで講演を続けた。本書は円了が急逝する八年前の一九一一(明治四四)年に、それまでに各地の講演を通して見聞した「奇談」「珍談」「怪談」四二五話を二十五項目に分類したものである。現在では行われていない各地の風習や、失われてしまった景観などが二四〇余の漢詩等とともに、克明に記録されている。軽妙な筆致と、着眼の妙は絶品である。
目次
天時地理
動物植物
牛馬舟車
山水温泉
名勝旧跡
名物七奇
市町村里
衣類飲食
住家庭園
教育学校〔ほか〕
著者等紹介
井上円了[イノウエエンリョウ]
1858年に現在の新潟県長岡市に生まれる。長岡洋学校で洋学を学び、1877年東本願寺・教師学校に入学。1878年東本願寺の国内留学生に選ばれ、東京大学文学部哲学科に進み、1885年に卒業。東本願寺に戻らず、著述活動に入り、仏教改革などの啓蒙活動を行う。哲学者としての活動とともに、妖怪研究を批判的に行い、「お化け博士」「妖怪博士」などと呼ばれた。1887年(明治20)に哲学館(現・東洋大学)を創立。哲学館に専門科を設け高等教育機関とするための寄付を募る活動として、全国巡回講演を行う。1919年(大正8)遊説先の満州・大連で、脳溢血のため61歳で急死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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