内容説明
長篇小説を執筆中の作家ポール・オレロンは古い貸家に引越すが、忽ち創作は行き詰まり、作家は周囲に何者かの気配を感じ始める。邪悪なものの憑依と精神崩壊の過程を鬼気迫る筆致で描き、ブラックウッド、平井呈一らが絶賛した心理的幽霊譚の名作「手招く美女」。沈没寸前のガレオン船の前に霧の中から現れた謎の船の正体とは…超時間的な幻想譚「幻の船」。シチリアの富豪の娘が旅先のチュニスで英国青年と恋に落ち、同時に神秘的な人格の変容を経験する。エキゾティックな舞台に古代幻想が交錯する中篇「彩られた顔」。第一次大戦で顔貌を損傷した英国人がフランスの田舎の城館に隠棲するが、相次ぐ怪異現象と迷信深い土地の人々の視線に次第に追い詰められていく…陰鬱な雰囲気に満ちた「屋根裏のロープ」など全8篇と、作者がその怪奇小説観を披露したエッセーを収録。英国怪奇小説の黄金時代において、精緻な心理主義と怪異描写を追求し、斬新なアイデアで新しい地平を拓いたオリヴァー・オニオンズの怪奇小説傑作選。
著者等紹介
オニオンズ,オリヴァー[オニオンズ,オリヴァー] [Onions,Oliver]
イギリスの作家。1873年、ブラッドフォード生まれ。ロンドンの国立美術訓練学校で学び、ポスターデザインや書籍の装幀・挿絵など商業美術の仕事に就いた後、ユーモア小説『完璧な独身者』(1900)で小説家に転身。歴史小説、地方小説、犯罪小説、SF、ファンタジーなど、多岐にわたる40冊以上の著書がある。1961年死去
南條竹則[ナンジョウタケノリ]
1958年東京都生まれ。作家、翻訳家
高沢治[タカサワオサム]
1957年茨城県生まれ。翻訳家
館野浩美[タテノヒロミ]
1972年神奈川県生まれ。翻訳者。自身のウェブサイト影青書房でフィオナ・マクラウド、ケネス・モリス等のケルト幻想文学の翻訳を公開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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