内容説明
ユーラシア大陸の広大な地域に広がる熊を崇拝し祭る習俗。そこに共通する思考とは。北方諸民族の熊遊び、アイヌの熊送り、東日本のマタギの狩猟儀礼―。遠いシベリアの地と日本列島とをつなぐ「熊神」の秘密を明らかにする。
目次
序説 シベリアへ
第1章 熊でつながる世界
第2章 熊の巣穴
第3章 ハンテ人の熊送り
第4章 熊の儀礼
第5章 熊と象徴
第6章 熊と精霊
終章 熊神伝説
著者等紹介
赤羽正春[アカバマサハル]
1952年長野県生まれ。明治大学卒業。明治学院大学大学院修了。文学博士。専攻、民俗学・考古学・文化史。シベリアと日本の文化史研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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六点
39
ヒグマはブラキストン線を超えることができなかったが、クマを供犠とみ、信仰の対象とする事は、シベリアからユーラシア各地に伝わった。西でベルンやベルリンという都市の名にクマの名は伝わっている。タイガの道を通じて、クマの文化はユーラシア大陸の東西に広く分布している。檀君神話は熊の始祖神話として、朝鮮民族の祖地を明示しているのだ。これほどまでに、民俗学の本で、汎地球的視点を持っているものは、不勉強ゆえ読んだことはなかった。クマ信仰がキリスト教の聖餐まで影響を及ぼしているとは、まさに人類の基層文化であると言えよう。2021/10/08