出版社内容情報
本書は、風土記をはじめとする古代史料の成立や特質に取り組んだ基礎的研究16篇を収録。魏志倭人伝の詳細な注解も併載。
本書は、著者が近年精力的に取り組んでいる古代史料に関する研究論文16篇を収録した労作である。16篇の論文は、テーマ別に?T~?Wに整理・分類されている。
本書の中核をなす?T「風土記の研究」では、古風土記についての研究7篇を収める。著者は、風土記研究の第一人者で、その着実な学風には定評がある。ここにはその最新の成果が収められており、いずれも風土記研究者にとっては重要な論考である。
つづく?U「古代史料とその研究」は、『日本書紀』を中心とする古代史料の基礎的研究で、史料を通じて、古代史像の再構築に踏み込んだ労作である。
つぎの?V「外国史料の読解」であるが、なかでも、第1章は、一般にも馴染みの深い魏志倭人伝の詳細な注釈で、九州説の立場から邪馬台国問題に鋭く切り込む雄篇である。また、第2・3章も、いわゆる倭の五王の研究で、手堅い史料の分析にもとづく研究成果は、一般の歴史愛好家をも被益するであろう。
最後の?W「史料の周辺」は、短篇ながら、貴重な未公開史料の紹介などからなる。
著者は、近年、弊社から平成20年3月に『記紀と古代史料の研究』を、翌年3月には『風土記研究の諸問題』という論文集を刊行している。本書は、これらにつぐもので、両著の刊行前後からこんにちに至るまでに公にした論文をもって構成されており、まさに著者の最新の研究を集大成した感がある。本書は、古代史の分野でも、研究の基盤となる史料の研究だけに、収録論考は、いずれも時間の風化を受けることなく、不変の価値をもつ珠玉の論文である。古代史研究者はもとより、魏志倭人伝や倭の五王など、古代史の謎に関心をいだく広い読者層にお奨めしたい1冊である。
?T 風土記の研究
第一章 『摂津国風土記』「比売嶋」小考
第二章 初期難波宮覚書――応神・仁徳天皇と難波の宮居
第三章 『丹後国風土記』について
第四章 播磨と出雲――『播磨国風土記』にみえる出雲国人の往来をめぐって
第五章 播磨と讃岐――『播磨国風土記』からみた両国の交流
第六章 九州風土記の成立をめぐって
第七章 百園花園文庫の風土記関係史料について――敷田年治の風土記研究・追考
?U 古代史料とその研究
第一章 帝王系図と年代記
第二章 孝徳天皇朝の阿倍氏――阿倍倉梯麻呂を中心に
第三章 承和九年の広湍秋麻呂売券をめぐって――伊藤寿和氏「大和国の条里関連史料についての基礎的研究」にふれて
?V 外国史料の読解
第一章 註解・魏志倭人伝
第二章 南朝冊封体制と倭の五王
第三章 昇明元年の「倭国遣使献方物」をめぐって――稲荷山古墳鉄剣銘の辛亥年は四七一年か
?W 史料の周辺
第一章 正倉院文書の一写本――架蔵『正倉院古文書寫』の紹介
第二章 三品彰英博士の書簡一通
第三章 書評・角田文衞著『平安時代史論考』
あとがき
索引
【著者紹介】
皇學館大学史料編纂所教授。博士(文学)。
目次
1 風土記の研究(『摂津国風土記』「比売嶋」小考;初期難波宮覚書―応神・仁徳天皇と難波の宮居 ほか)
2 古代史料とその研究(帝王系図と年代記;孝徳天皇朝の阿倍氏―阿倍倉梯麻呂を中心に ほか)
3 外国史料の読解(註解・魏志倭人伝;南朝冊封体制と倭の五王 ほか)
4 史料の周辺(正倉院文書の一写本―架蔵『正倉院古文書寫』の紹介;三品彰英博士の書簡一通 ほか)
著者等紹介
荊木美行[イバラキヨシユキ]
昭和34年和歌山市生まれ。高知大学人文学部卒業、筑波大学大学院地域研究研究科修了。四條畷学園女子短期大学専任講師・皇學館大学史料編纂所専任講師・同助教授を経て、同教授。博士(文学)「愛知学院大学」。日本古代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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