アイルランド・ストーリーズ

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  • サイズ B6判/ページ数 368p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336052889
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

稀代のストーリーテラーが優しく、そして残酷にえぐりとる島国を生きる人々の人生模様…O・ヘンリー賞受賞作を含む全十二篇。『聖母の贈り物』につづくベスト・コレクション第2弾。

著者等紹介

トレヴァー,ウィリアム[トレヴァー,ウィリアム][Trevor,William]
1928年アイルランドのコーク州生まれ。トリニティ・カレッジ・ダブリンを卒業後、教師・彫刻家・コピーライターなどを経て、60年代より本格的な作家活動に入る。65年、ホーソンデン賞を受賞した『同窓』で注目を集め、以後現在までに30冊を超える長篇小説と短篇集を発表し、数多くの賞を受賞している。短篇の評価はきわめて高く、初期からの短篇集7冊を合わせた短篇全集(92年)はベストセラー。ジョイス、オコナー、ツルゲーネフ、チェーホフに連なる現代最高の短篇作家と称される

栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授。専攻は現代アイルランド文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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nobi

70
「ダブリナーズ(J.ジョイス)」の鬱屈した気分を想起する。虐げられてきた歴史が齎すのであろう侘しさと自嘲への傾斜。トレヴァーを敬愛するというイーユン・リーの描く孤高の精神とは違って見えた。身近に進行するテロは犠牲者側として当事者側としてその憂愁の度合いを深める。その中「聖人たち」の“わたし”は「さすらう者たち(リー)」の“顧師”に重なった。アイルランド紛争で文革後の混乱で家族が犠牲となった男の現在と過去への眼差しは、ゆっくりとしたカメラワークのように寂寥と愛惜を映し出す。諦観の世界にも光が射す奇跡の尊さ。2017/05/06

藤月はな(灯れ松明の火)

62
担保としての強要や復讐、虐待、虐め、育児放棄、暴行、犯した罪、優越感からの妥協など気が滅入ることがてんこ盛りなのですが、それでも寂しさと清々しさを感じさせる文体が魅力的です。希望を持つことは絶望。それでも持つからこその強さがある。特に『ミス・スミス』の教師が気に入らない子供を虐めるのはよく、あることなので結末は自業自得と言えども子供さんと旦那さんが可哀想すぎます。2014/05/12

星落秋風五丈原

48
トレヴァーが短編の名手というのも頷ける。誰もが見かけの裏に別の何かを隠す。短編には、現実と過去が交錯して描かれるタイプが多く収録されており、その中には当然イギリス親和派Vsアイルランド独立派に分かれ激しい抗争が繰り広げられたアイルランドの苦い歴史が絡む。内戦であれ海外に向けての戦争であれ、戦争をするということは、こういうことだ。。目に見える傷より目に見えない傷の方が多く、後者はより長く人や国を苛み続ける。事によれば傷は個人に留まらず、次世代にも余波を残す。2015/07/29

seacalf

46
満を持してトレヴァー初読み。アイルランド好きの相方の影響で少なからず愛着を感じ、新婚旅行もアイルランド。そんな思い入れが強い分、未読でいたトレヴァーだが・・・評判にたがわずやはりどれもこれも苦い話。だが、等身大の彼らの目で物事を見せる技量はさすが。この国ならではの厳しい歴史を知らずとも理解できる、誰にだってある現実のしがらみ、哀しさと明日へ生きるしたたかさ。それらを見事に切り取ってみせる。なるほど、短編の名手として愛されるわけだ。とはいえ、彼が奏でる調べは、温かみが胸に広がる読書を好む自分には合わないが。2017/02/13

miyu

45
「聖母の贈り物」に続き読了。こちらはよりアイルランドの歴史に深く関わる内容の作品が集められていて、私にはかなりのご馳走であった。作品の並べ方もまた絶妙。まるで別の人生を切り取っているようで、どこかに繋がりがあるかのような気さえしてくる。人は誰でも一瞬一瞬を自分で決断した気で生きている。だけど本当は何か別の存在に選ばされているのかもしれない。何をどう決めて人生を過ごしたとしても、結局自分は今と寸分たがわぬ自分であったかもしれない。個々の作品についてはとても語り尽くせないが、一人でも多くの人に読んでほしい。2014/08/14

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