内容説明
菅原道真の怨霊感知に端を発する天神信仰の展開ならびに諸相については、これまで多くの研究成果が蓄積されているが、今これを天神縁起成立(=十二世紀末頃)以前に限っても、研究の根拠となるべき文献史料の取り扱いについて、またそこから導き出される信仰史的事実の確定や意義づけ等々について、結論は必ずしも一様ではなく、なお基礎的検討の必要性が少なくないように思われる。そこで本書においては、延喜三年(九〇三)二月二十五日の道真薨去以後、鎌倉時代半ばに近い建長元年(一二四九)までに限って、天神信仰の信仰史的事実に関する各種文献史料を博捜した上で、それぞれの史料が示す年代を整理して編年順の年表として提示し、併せて各事項ごとの根拠となる史料の本文をも掲載し、もって上記期間における天神信仰の成立と展開を通観しうるとともに、今後の研究の基盤固めをも目論んだものである。
目次
本文編―編年史料集成 延喜三年(九〇三)~建長元年(一二四九)(僧道賢(日蔵上人)の頓死をめぐって
北野天満宮創建(鎮座)をめぐって
正暦四年の故菅原道真の左大臣正一位追贈について
正暦四年の故菅原道真の太政大臣追贈について)
資料編―主要史料対照表(延喜二十三年=延長元年四月二十日の、故菅原道真への復本官右大臣ならびに贈正二位;北野天満自在天神宮創建山城国葛野郡上林郷縁起;最鎮記文;比良宮禰宜神良種の子太郎丸への託宣 ほか)
付編―京都・東向観音寺所蔵『北野御託宣并記文縁起』の影印と略解題
著者等紹介
竹居明男[タケイアキオ]
1950年京都市に生まれる。1973年同志社大学文学部文化学科文化史学専攻卒業。1979年同志社大学大学院文学研究科博士後期課程中退。同年同志社大学文学部助手。以後、同大学文学部専任講師、助教授を経て、現在、同志社大学文学部教授
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