内容説明
“かわいそうなティモニーに疲れたら、陽気な歌に移っていく。そして、夜の続きのために私たちは乾杯する。壊れたグラスも壊れてないグラスも一緒に。過ぎ去ったつらい日々と行方のしれないこれからの日々のために”ハイチを逃れたどり着いたマンハッタン。苛烈な過去と未来への不安を抱えながらも、前を向いて生きていこうとする3人の女学生のいまを生き生きと描いたエドウィージ・ダンティカの「葬送歌手」。“彼女は彼を殺すだろう。それは彼女の名がアンナだというのと同じくらいに間違いのないことだ。彼を殺して、彼女自身の人生がようやく始まる”結婚以来、暴君として君臨してきた、いまや寝たきりの夫の殺害を決意したアンナ。やがて訪れる決行の朝にアンナを待ち受けているもの、果たしてそれは―ケトリ・マルスの「アンナと海…」。古くからの因習がひきおこす惨劇を静謐な筆致で綴った表題作をはじめ、カリブ海に浮かぶ小国ハイチに生まれた代表的現役作家9人による、透明なイメージに満たされた粒揃いの短篇集。
著者等紹介
フランケチエンヌ[フランケチエンヌ][Frank´etienne]
1936年、サンマルクに生まれる。二十二歳のときにポルトープランスに中学校をみずからの手で開設。1964年、ルネ・フィロクテットやジャン=クロード・フィニョレと共に、「螺旋主義」運動を起こし、ジャック・ルーマンやジャック=ステファン・アレクシスらの伝統から一歩も外に出ようとしないハイチ文学の変革を目指す
立花英裕[タチバナヒデヒロ]
1949年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授
星埜守之[ホシノモリユキ]
1958年、アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、白百合女子大学教授
沢田直[サワダナオ]
1959年、東京都生まれ。パリ第一大学大学院修了(哲学博士)。現在、白百合女子大学教授
管啓次郎[スガケイジロウ]
1958年生まれ。ハワイ大学大学院中退。現在、明治大学助教授
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