スタニスワフ・レムコレクション
天の声・枯草熱

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  • サイズ B6判/ページ数 410p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336045034
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0397

内容説明

偶然捉えられた地球外からの信号を解読するために一流科学者たちのチームが結成された。しかし、信号のわずかな部分の情報からコロイド状の物質はつくり出すものの、事実を解明できぬまま、やがて計画全体が政治家の思惑に翻弄されていく…。大物数学者の遺稿というスタイルで人間の認識の限界をもあぶりだす長篇『天の声』と、ナポリで起きた中年男の連続怪死事件をめぐって、捜査の依頼を受けた「枯草熱」(花粉症のようなアレルギー)の元宇宙飛行士が、男たちの足跡をたどるうちに自ら予想外の出来事に巻き込まれていく確率論的ミステリをカップリング。かつてサンリオSF文庫に収録された後期レムを代表する二つの長篇をまとめて復刊。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

春ドーナツ

20
「どうにかここまで読み終えられた読者」と主人公が語りかけるのは40頁(二段組)である。続きを引く。「いったいいつになったらあの有名な事件(マスター・ヴォイス計画)の核心に入(るのか?)それを期待し望んでおられるとしたら、ここで私の本を閉じたほうがいい」「天の声」はそういう小説だ。清水義範のパスティーシュ小説を薄く思い出す。一方、著者の言葉を借用すると「枯草熱」は「認識のために用いられる基準体系に左右される」、「SFから類推した哲学小説」かも知れない。表題について一言。当時「花粉症」は一般的ではなかった由。2019/06/02

∃.狂茶党

19
『天の声』 レムによる架空の書物。 偶然見出された、ノイズの中の規則性、それは意味を有してると考えられた。 これは一方通行ながらファースト・コンタクトかもしれない。 多数の研究者が集められ、核実験場跡地で、探究が始まる。 この話、枚数的には全く違うのだが、ある日本のショートショートを連想してしまう。 猿が夢中になってたあるものに、人類が気がついてって話。 小松左京だったかな。 最終的着地点は全く違うものの、大筋は一緒だろう。 ↓2023/07/08

monado

10
『天の声』長編のなかでは一番の傑作かもしれないぶっとんだアイデア。必要以上に文学的な表現や脇道のエピソードが読者を惑わすが、その筆致たるや、本当に天才としか言えない作家である。 『枯草熱』は『捜査』のアップデート版ということだったが、たしかにオチはついているが、事件があまりに淡々と描かれているし、最初の主人公の行動もいまいち意味側分からなかった。2017/12/29

傘緑

9
「数学的に見て確実なことだったのです」『枯草熱』のみ読了。谷崎の『途上』の先駆性を再認識させられる傑作。読み進めている間、九百人のお祖母さんの笑い声が響いていた、つられて私も笑った……冗談なんだよ冗談……「階段の精神」「運命を修正する」などかなり無理矢理挿入される数々の諺や格言……くだらなくって、バカバカしくって……「チェスが解答である謎かけの禁句は?—チェスという言葉(八岐の園)」……レム自身書いていて笑ったのでは?このたった一言、あまりにも人を食っている……「ナポリを見てから死ね」ってことですね 2016/09/05

roughfractus02

4
作者にはファースト・コンタクトはコミュニケーションなる妄想に絶対的な不可能性を突きつける契機のようだ。『天の声』では小熊座からの信号を解読する科学者の科学的論証が、『枯草熱』ではミラノで起きた連続怪死事件を追う元宇宙飛行士の犯罪推理が、謎と解明を対応させる期待を膨らます。が、前者の主人公は、発信源の知性体の代わりにコロイド状の物質を見つけ、その物質によって任意の場所で核爆発が可能という副産物を手に入れ、後者の主人公は、事件と関係のない女の気絶やテロに巻き込まれて、確率論的世界をランダム・ウォークし続ける。2018/12/26

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