内容説明
親の敵を尋ねる美少年喜次郎、妻の密通相手に殺される役者小幡小平次、陸奥を舞台に孝子の復讐と怨霊の祟りを描く『安積沼』。叶わぬ恋に狂う破戒僧清玄、様々な怪異に魘されて離魂病を患う桜姫、美女玉琴の怨霊に翻弄される鷲尾家の転変を描く『曙草紙』。現代語訳で甦る江戸幻想小説の世界。オリジナルの挿絵もすべて収録。
著者等紹介
須永朝彦[スナガアサヒコ]
1946年生まれ。歌人・作家
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感想・レビュー
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きいち
9
「国書刊行会の3冊」の術中にまんまとハマった私です。それにしても、「桜姫全伝」の敵役、すべての悲劇の元凶である桜姫の母「野分の方」が素敵すぎます。強いわ色気はあるわ臨機応変だわ自分勝手だわ…、もう一番イキイキとキャラ立てて動きまくり。日本の物語は悪役が立つと面白い、というのは伝統なんですねえ。「安積沼」のほうはもう一つの伝統、主人公の美男子苛め。吉田秋生的な。こちらも悪役が元気で。須永訳、リズムがあっていい感じです。2012/11/09
ベック
2
江戸の伝奇小説である。果たしてぼくに読むことできるんだろうかと、おっかなびっくりという感じで読み始めたが、たちまち引き込まれてしまった須永朝彦氏の現代語訳でこなれた文章の響きが心地よい。思わず声に出して読んでみたくなる文章だ。江戸の庶民は、こんな話を読んで楽しんでいたのかと驚いた。今では考えられない酷薄な人間がでてきて、悪魔の所業を繰り返す。江戸の時代ではこれが当たり前だったのだろうか。とにかく、読んでよかった。すこぶるおもしろかった。2006/01/19
小心
1
安積沼のほうの挿絵は北尾重政さん。この人は山東京伝の浮世絵の先生なわけですね。桜姫のお話、才色兼備な良妻の野分さんが豹変ぶりに驚かされます。2013/02/10
ないか
1
面白かった! 古語より全然読みやすいけど、ちょいちょいひっかかるね。京伝はほんといいなぁ。安積沼は、小平治の殺害のとこではなんかドキドキしたし、曙草紙では野分無双すぎて。ええ!?ってなったし。ほんと面白かった。いいなぁ、もっと訳してほしいなぁ2013/01/31