内容説明
生涯たった6本の映画しか撮らなかった映画作家、栄光の頂点でも孤独なアウトサイダーだった男―ジャック・タチ。飄々とした「ユロ伯父さん」が風のように通り過ぎるその作品群は、一方で途方もなく精緻な音響的・視覚的創意に満ちていた。喜劇映画の歴史に特異な足跡を記したその革新的作業は映画の枠をはるかに超え、音楽、舞踏、美術、さらには建築の領域にすら及ぶ。ヌーベル・ヴァーグの映画作家たちにも多大なる影響を及ぼしたこの分類しがたい天才の真実に、遺族の協力を得て多数の写真とともに迫る力作評伝。
目次
第1章 スポーツの印象
第2章 郵便配達人フランソワ
第3章 海岸ホテル
第4章 アルペル邸
第5章 タチヴィル
第6章 トラフィック、パラード、コンフュージョン
著者等紹介
ドンデ,マルク[ドンデ,マルク][Dondey,Marc]
パリ郊外、ナンテールの「アマンディエ劇場」代理支配人
佐々木秀一[ササキシュウイチ]
1958年生まれ。慶応大学仏文科卒。編集・翻訳・広告製作などに長年従事。現在、災害防止団体勤務
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感想・レビュー
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「ぼくの伯父さん」で有名なフランスの映画監督ジャック・タチの評伝。その誕生から逝去まで、豊富な写真やインタビューと共に述べられていて読み応えがあった。「真実」とあるが、ネガティヴな事はあまり書かれてはおらず、寧ろ、彼が一本の映画を作る際に、どれほど心血を注ぎ、拘ったのかが書かれていて、そういう意味では結構衝撃だった。映画監督になったのが遅く、生涯で6本しか撮れなかったタチだが、彼の芸や作風が、あのミスタービーンにオマージュされていたり、『イリュージョニスト』の公開を考えると、報われたのではないかと思う。2018/08/28