内容説明
自己の同一性の証として、またよりどころとして、己れの内なる「神語体系」の調和を希求するウルフであったが、妻ガーダの不倫を疑ういっぽう、自身も不義密通への抑えがたい欲望を募らせてゆく。果てしない彷徨を繰り返すウルフの魂に、安息の時は訪れるのであろうか?強烈な筆致で、人間心理の奥底の異様な相貌をとらえ、圧倒的な文学世界を構築したポウイスによる、二十世紀を代表する大長編。
著者等紹介
ポウイス,ジョン・クーパー[ポウイス,ジョンクーパー][Powys,John Cowper]
1872・10・8‐1963・6・17。イングランド出身の作家。牧師の長男として生まれる。兄弟のうちシオドア・フランシスとルウェリンも作家。1894年ケンブリッジ大学を卒業後、教職を経て、講演者となる。1910年ころよりアメリカ合衆国に移って、各地で講演を行うかたわら、移動中の列車やホテルなどで長篇小説の執筆を続ける。聴衆のひとりであった作家ヘンリー・ミラーに深い感銘を与え、ミラーはその後も長くポウイスを崇敬することとなる。1934年にイングランドに帰り、のちに父祖の出身地であるウェイルズ北部に定住。執筆活動に専念する
鈴木聡[スズキアキラ]
1957年弘前市に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専門課程修士課程修了。現在、東京外国語大学外国語学部総合文化講座助教授(ヨーロッパ文化論・比較言語文化論〔大学院〕担当)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。