内容説明
公園で発見された幼い少年の遺体。犯人として逮捕されたのは十一歳の少年セバスチャンだった。彼を弁護することになった若き事務弁護士ダニエルは、セバスチャンを救うため奮闘しながら、自身のつらい少年時代と、里親ミニーとの出会い、そして後の断絶を思い返すが……。心にひそむ闇を描きだす傑作サスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
31
8才の男の子が殺された。容疑者は11才の少年。少年の弁護士ダニエルは時々不安にかられながらも仕事に専念する。このIQの高い少年は本当に殺人を行っていないのか。そして薬物中毒の母親から引き離され、里親を転々とした自分の過去。自分の怒りは後悔はどこに行くのか。重苦しい作品。クック氏の作品に似ているとの事。ほんとだ。2016/08/12
みっぴー
28
十一歳の少年が八歳の子を殺した…?序盤から物語の放つ強烈な磁力に引き付けられ、無我夢中でページを捲り続けました。青少年犯罪をテーマに据えて、家庭の不和や親の愛情不足がどれだけ子供に影響を与えるのか、主人公ダニーの体験を通して胸が苦しくなるほど生々しく語られています。青少年の犯罪が凶悪化している今現在だからこそ、全ての年代の人に読んで欲しいです。親の愛や帰る家、当たり前の物が手に入らない子供達もいるということを忘れてはならないと思いました。2015/11/18
Bashlier
21
4/5 文章力と対比構造に優れているが、ストーリーラインは飛び抜けたレベルではない。最後のオチも多くの読者は想定出来るであろうし、演出もぼやけていて印象に残りにくい。ただ、事件の明快な描写や主人公の少年時代の心の動きの捉え方が繊細で文章の質の高さを感じる。丁寧に書かれたことがはっきりとわかる、十分に楽しめる作品だ。2015/07/16
稜
14
親の愛情を知らない人は何かが欠けている。弱者を殴る。犯す。そして殺す。それは愛情の問題ではなくその人間の生まれ持った性質や感情の一部が欠落しているとしか思えない。それとも弱者を戒める事で欠落した何かを補っているつもりなのか?愛情を注がれた人間は人を殺す事はないと言い切れるわけではないが、殺人を犯しても平気で嘘をつく人間はもう人間ではない。経験を積み学習し失敗しては挑み続ける繰り返しの人生。もう疲れたのなら誰でも良い。誰でも良いから背中を預けて楽になろう。齋藤飛鳥さんから紹介されたおすすめの一冊。2018/07/25
emitaku
13
えらくおもしろい本にあたって、にんまり。スリリングな法廷シーンと、情景豊かな過去パートの組み合わせ。読みどころがたくさんの、デビュー作とは思えない一作です。あー、もっと言いたいけれど、黙ります。2015/08/13