内容説明
帰宅早々、予期せぬ伯父の来訪をきかされたソーンバラ医師は、洗面室に入った伯父に声をかけたが返事はなかった。ただならぬ気配に胸騒ぎを感じた医師が、居合わせていた警官とともにドアを破ると、伯父は頭部を打ち割られ倒れていた。室内に凶器らしきものはなく、ひとつしかない窓は環視のもとにあった。密室状況下、犯人は如何にして出入りしたのか、また如何なる凶器が用いられたのか。犯行手段が解明できないまま事件は迷宮入りと見えたが…。冷徹に計算された完全犯罪に挑む、科学者探偵プリーストリー博士の名推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっぴー
20
密室プラス凶器が見つからないという設定ですが、事件のあった家の周辺の様子がイメージしずらい感じがしました。特に謎を解くカギとなるはずの車庫や車回しの位置関係がよく分からず、あまり物語に集中出来なかったのが残念です。全体的に盛り上がりに欠けるというか、人間に例えるなら「大人しい、いい子ちゃん」。推理小説として水準は満たしてると思いますが、私にはちょっと物足りなく感じました。2015/10/18
ホームズ
14
再読。内容はすっかり忘れていました(笑)見えない凶器の謎はまあ予想通りな感じでしたが全体的な展開は良くできていると思います(笑)ジョン・ロードは評価が低い作家らしいですがもっと色んな作品を読んでみたいな~(笑)2011/12/06
タカラ~ム
7
国書刊行会の『世界探偵小説全集』第7巻。密室でフランシャム氏が殺害されるが、現場からは凶器が発見されない。警察をソーンバラ医師を容疑者と考えるが、凶器が見つからないまま事件は迷宮入りの様相を呈してくる。やがて第2の事件が起きる。無関係と思われたふたつの事件がある共通項で繋がったとき、プリーストーリー博士は事件の全貌を解明する。どうやって殺したのか(ハウダニット)と誰が殺したのか(フーダニット)の要素を盛り込まんだ王道の探偵小説という雰囲気の作品。意外な凶器の存在に納得できるかは読者次第かも。2020/08/12
造理
7
★★★☆☆ 密室の洗面室で発見された死体、だが凶器が見つからないという謎自体は単純です。真相は作中も警視が言っているように、何でこんなことに気づかなかったんだ?ぐらいのレベルですが、もう一つの殺人との絡みなど工夫も凝らされています。2016/10/20
のざきち
5
再読。トリックはいかにも「1930年代」ならではのものでしたが、動機は少しひねりが効いていたので、思いの外残念な感じは無かったです。2019/05/18