内容説明
「よし、それならいっそのこと、かたっぱしから連中をはりたおしてやる!ところが、いきなり壁だった。そこで踵を返し、出口へと歩き出す…会衆は呆気にとられ、口をあんぐりあけて、小生を見てる…すたすた歩きは次第に威力を増し、迫力を増し…おお、悪魔、悪魔、すたすた、すたすた、すたすた。よし、いいぞ。すたすた歩きだ。すたすた、すたすた…」ポーランドでの作家としての名声におさらばし、アルゼンチンにやって来た“小生”は、海の向こうの祖国で戦争が始まったことを知った。これ幸いと故郷への帰還を断念し、ブエノスアイレスの熱気に身をゆだねたはいいものの、周りは体面を重んじるバカばかり。唇を赤く塗った謎の男とグルになって、“小生”はおとな共を叩き潰す仕儀にあいなった。永遠の青二才を標榜する作家ゴンブローヴィッチが、みずからの体験をもとにして戯画的に綴ったグロテスク・リアリズムの傑作。
著者等紹介
ゴンブローヴィッチ,ヴィトルド[ゴンブローヴィッチ,ヴィトルド][Gombrowicz,Witold]
1904年、ロシア領ポーランドで貴族の家庭に生まれる。ワルシャワ大学で法律を学んだのち、パリに遊学。帰国後、作家をめざし、33年に短篇集『成熟期の手記』をまとめる。37年、アンチ・リアリズム小説の金字塔『フェルディドゥルケ』で作家としての地位を確立。しかし、たまたま旅に出たアルゼンチン滞在中に欧州では大戦が勃発、以後ついに母国の土を踏むことなくその生涯を終える。67年『コスモス』で国際文学賞を受賞。1969年、南仏ヴァンスで死去
西成彦[ニシマサヒコ]
1955年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。現在、立命館大学大学院先端総合学術研究科教授
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