感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
8
たとえば、“風呂槽が大変な法螺をふいた/自分は地中海だと彼女は言う/一方の側壁は/ヘルゴランドの沿岸地方で/もう一方の側面は/ヒンドスタン山脈だ(44頁)”…と始まる「浴槽」が好きで、時々読み返したくなる。亡くなる前の入院日誌を物悲しく読んでいたら、朝食に牛の脳みそを召し上がっていた。2014/06/18
きゅー
8
詩集。動物園の麒麟とタイトルにあるように、たしかに彼の詩には動物や昆虫が数多く登場する。「全生涯」という詩では、かげろうの短い一生を、人間の一生になぞらえて描写している。詩での彼らは写実的にではなく、擬人化され描かれ、いくぶん滑稽な風味が醸しだされている。そうした詩集では、諧謔が前面に出ており、面白みはあるのだが、さらに深くへと彼の詩に埋没したいという欲求は起こさせなかった。それに対して後期(と思われる)詩集になると、ユーモアが奥に引っこむかわりに、人生に対するシニカルな表情が垣間見れるようになる。2012/07/27
ぱせり
4
そう、倒れて死んだ廃馬は(もう)辛くもみじめでもない。浴槽は、たぶん自分が「お風呂じゃないよ」というならもちろんお風呂であるはずない。『名誉心』は皮肉たっぷりだ、と思うけれど、そこに湛えられた悲しいような美しさに惹きつけられずにはいられない。世界が傾いたような(傾いた世界が正常な位置に戻ったような)詩集。2021/08/13
渡邊利道
1
二十世紀初頭の新即物派ドイツの詩人の撰集。初期の動物ものがとにかくユーモアとペーソスがあってよい。だんだんシニカルな味が出てきて、最後に付された詩人の最期の入院日記と妻の言葉が痛ましい。2017/04/15
pon
0
『正弦曲線』から。ケストナーとほぼ同世代のドイツ新即物主義の詩人。からっとしていていいです。2014/02/04
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