内容説明
勤労精神の喪失(ロスト)、欲望の喪失(ロスト)。劣化していく日本社会。ポスト近代社会の煮詰まった停滞を破り、3・11後の危機を第二の文明開化へと転換する。気鋭の社会学者による、渾身の書下ろし現代社会論。
目次
第1章 近代・ポスト近代・ロスト近代
第2章 ロスト近代―表層から深層へ
第3章 格差社会論―ゼロ年代の中心
第4章 北欧型新自由主義の到来
第5章 ローマ・クラブ型恐慌への不安と希望
第6章 グローバル化の逆説
第7章 3・11大震災と原発事故を考える
第8章 グリーン・イノベーション論
第9章 ロスト近代の原理
著者等紹介
橋本努[ハシモトツトム]
1967年、東京中野生まれ。横浜国立大学経済学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科課程博士号取得。現在、北海道大学大学院経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk
5
重厚で本質的。現代につながる思想。読むべし。2024/02/21
壱萬弐仟縁
2
ロスト近代とは、自由権や社会権などの近代的な社会の枠組みを維持しながらも、しだいに衰退していくような社会である(3ページ)。第1章の概念整理は的確で、これまで学習したことのある方々の理論は実に明快に理解できる優れたものだと太鼓判を押したい。若者たちは疑似体験で満足しており、実体験がなくてもよいと思っているようだ。評者はこの著者のように、あるいは、山本哲士先生のような発想法、説明法と似た波長をもっていると実感した。このような論者の本を熟読し、彼らの理論に肉薄しつつ、これらを乗り越えることができるか挑みたい。2012/10/30
akanishi
1
様々な社会論を組み合わせて深い理論展開ができている。本編とはちょっと異なるが、福島第一原発事故での無責任体制を論じているのも興味深い。2013/09/07
issei-taguchi
1
近代~ポスト近代~ロスト近代の流れが、良く分かる本。最後の方のエネルギー関係の記述は少し難しかった。2012/07/10