内容説明
わたしたちの不安と恐怖は、どこからくるのか?グローバル化=個人化社会の根幹を問う社会学的分析。
目次
第1章 原罪―白鯨を追い求める
第2章 分離―死をイメージする
第3章 信仰―冒険に立ち向かう
第4章 喪失―亡霊を呼び起こす
第5章 危機―非常事態を生きる
第6章 暴力―憎悪が憎悪を生む
第7章 連帯―クールに向き合う
著者等紹介
奥井智之[オクイトモユキ]
1958年奈良県に生まれる。1981年東京大学教養学部教養学科相関社会科学分科卒業。1988年東京大学大学院社会学研究科博士課程(社会学専攻)単位取得退学。現在、亜細亜大学経済学部教授。専攻は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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午後
2
個人主義やグローバル化の進展に伴うコミュニティの喪失によって現代の不安や恐怖は作られている、という話。恐怖や不安の概念分析や、社会の変化と恐怖の対象との関係の分析などを期待して読むとがっかりする。2022/01/24
hixxxxki
2
教科書的な外見だけど、社会学を絡めたエッセイのような感じ。体系的なかっちりした内容を期待したので、その点では裏切られたが、読みやすく、面白い部分もあったので読んで良かった。2015/12/29
アルゴス
0
恐怖と不安をお題として、さまざな文学作品や映画作品を手掛かりに考察する書物。どうして恐怖が生まれるのか、恐怖と不安はどのような関係にあるのかなどという本質的な問題の考察は省かれている。それでも著者なりの一応の結論を示すとすれば、「ホラーものの愛好者を生み出すのは、コミュニティの喪失である。愛好者はホラーを通じて、一つの儀礼に参加する。すなわちそれはコミュニティの葬礼の儀礼である」(85)。著者の議論の枠組みとなっているのは、訳書のあるG・バウマン『コミュニティ』であろう。2017/12/22
新橋九段
0
一応テーマとしては一貫としているのだろうが、今一つ本書全体で何が言いたいのかがピンとこなかった。2016/11/15
あいうえお
0
液状化する近代において、コミュニティの喪失は恐怖と不安をもたらす。コミュニティの喪失はアイデンティティの不安定と言い換えてもよいかもしれない。 恐怖と不安=コミュニティの喪失=アイデンティティの不安定は、リキッドモダニティ=グローバル化=個人化のことであり、それへの対応策はコミュニティの再興=連帯であるらしい。 連帯の意義や再興可能性は措いて、バウマン(やベック)の社会理論を小説や映画という「現実」に適応する試みが本書であった。 社会理論の適用例として面白い。が、自分でこれをやるのは無理な気がする。 2019/05/04