内容説明
実務家をめざし憲法訴訟を効率的に学ぶのに最適な入門書。行政、民事、刑事訴訟における憲法上の争点を、著名事件をもとに照射し、憲法訴訟の役割について読者と共に考える。
目次
憲法訴訟の目的と役割
第1部 行政訴訟としての憲法訴訟―在外日本人選挙権制限違憲訴訟(行政・憲法訴訟の様相;違憲の争点と行政・憲法訴訟;行政・憲法訴訟による憲法秩序の形成)
第2部 民事訴訟としての憲法訴訟―三菱樹脂事件(民事・憲法訴訟の様相;違憲の争点と民事・憲法訴訟;民事・憲法訴訟による憲法秩序の形成)
第3部 刑事訴訟としての憲法訴訟―猿払事件(刑事・憲法訴訟の様相;違憲の争点と刑事・憲法訴訟;刑事・憲法訴訟による憲法秩序の形成;憲法訴訟の課題と活用)
著者等紹介
戸松秀典[トマツヒデノリ]
東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。現在、学習院大学法科大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takizawa
4
初学者向けの憲法訴訟論というコンセプトが目新しかったので読んでみた。かなり正統派の教科書。憲法訴訟を行政事件/民事事件/刑事事件に分類し,さらに体系化を試みている(ただ,問題となる人権ごとの類型化を期待していると面食らうかも)。判例の読み方講座のような一面もあるので独学している人にオススメ。2011/11/06
きみどり
0
行政法、民法、刑事法分野に関連した憲法判例(それぞれ、在外選挙人選挙権制限違憲訴訟、三菱樹脂訴訟、猿払事件訴訟)を元に、憲法訴訟の様相を探った本。憲法の勉強がある程度してある人向けの本かもしれません。2013/08/10
あかべえ
0
コンパクトにまとまっていて、それでも内容は充実していてためになる。一通り憲法の勉強をした人が、行政・民事・刑事という訴訟の類型ごとにそれぞれの判例を見るという視点を得るきっかけになるのではないかと思う。2011/10/02
うどんさん
0
憲法問題が主要な(あるいは隠れた)争点となっている訴訟において「憲法価値の具体的実現」がどのように図られているか、行政・民事・刑事という三つの訴訟類型に即して具体的な判例を素材に、それらにある特徴や問題点を検討している。それぞれの類型ごとのアドホックな事案解決のため、必ずしも憲法秩序の形成という観点から統一的な裁判法理が整備されてこなかった点を今後の課題としている。ロースクール時代の判例重視の憲法学の検討姿勢が味わえる。入門シリーズの小著だが一通り主要法律科目を勉強した後に読む方が理解しやすい。2022/05/19
ただの人間
0
他の法分野と異なる面を強調する「憲法訴訟」論ではなく、あくまで裁判手続の中で憲法がどのように絡んでくるかという視点から、行政(在外国民選挙権)、民事(三菱樹脂)、刑事(猿払)のそれぞれにつき、判例の読み込みを中心に論じる。どのように憲法がとりあげられ、それに対して裁判所がどのような応答を示したかという観点から、法秩序の形成という点にも意識が向けられていた2019/04/21
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