出版社内容情報
EUからの離脱が決まった、イギリスの「欧州連合離脱是非を問う国民投票」の内幕を伝える迫真の政治ドキュメンタリー。
内容説明
キャメロン元首相の側近が英国史に残る大事件の舞台裏を政権内部から明かす!国民投票を前に展開された仁義なきメディア戦、次期首相の座をめぐる思惑―。国民は何を信じたのか?なぜ残留派はしくじったのか?
目次
プロローグ 国民投票の夜
1月
2月
3月
4月
5月
6月
国民投票後
エピローグ それで、結局…?
著者等紹介
オリヴァー,クレイグ[オリヴァー,クレイグ] [Oliver,Craig]
キャメロン政権の首相付き政務広報官を務め、2015年の総選挙における保守党勝利などに貢献。のちに官邸を辞して、英国のEU残留キャンペーン「ブリテン・ストロンガー・イン・ヨーロッパ」広報責任者となる。官邸入りする以前には、ITV、BBCなど英国の主要テレビ局でニュース番組の編成などを担当していた。現在はコンサルティング会社テネオ・ブルー・ルビコンのシニア・マネジング・ディレクター。ロンドン在住
江口泰子[エグチタイコ]
翻訳家。法政大学法学部卒。編集事務所で雑誌編集に携わったのち渡英。4年間の滞在後に帰国し、広告企画会社を経て翻訳業に従事。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
31
2016年6月23日。英国がEU離脱を決めたニュースは世界を驚かせた。本著はキャメロン首相の政務広報官が書いた内幕本。あの結末に至るまでの半年間にわたるメディア戦略の顛末がリアルに展開される。離脱派による嘘も交えた強烈なキャンペーンへの対応が後手に回ったうえ、内閣内の裏切りなどが重なった。何よりも若者の投票率が低かったことが響いたのだという。理性よりも感情で判断する風潮が強まっています。日本でも憲法改正でメディアを使ったキャンペーン合戦が予想されています。この本のような醜い争いにだけはならない事を祈ります2018/02/03
funuu
18
「豚と格闘するな。豚は喜ぶが、こっちは糞にまみれる。」残留派と離脱派が泥試合。そして初の経験に乗り出す。大英帝国の誇り、移民による社会不安、EUから一番の利益を得ている層への反発等が離脱に賛成に繋がっていく。メイ首相の英帝国の将来は厳しそう。一般国民は影響ないと思っていたと思う。作者の意図と違ってキャメロン氏が全て悪いことになりそうだ。何ごとも初められた動機は正しことをしようとしたのだ。一方で日本の憲法改正の国民投票は改正でも改正なしでも自衛隊がなくなるわけでなく現状と同じ。まあ、祭り。2018/01/01
BLACK無糖好き
16
著者は2016年6月に行われた英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、EU残留キャンペーンの広報責任者として当時のキャメロン首相を支えた中心人物。保守党の内部分裂の内幕も曝け出しているが、本書の肝は"政治とメディアの関係"。著者がどのような戦略で残留キャンペーンを推し進め、そしてメディアはどのような役割を果たしてきたのか、著者は元ジャーナリストでもあるが故にこのテーマに関する論及は響くものがある。又一気に燃え上がり一気に鎮火するというニュースの燃焼率についても指摘している、この傾向は身近でも感じられる。2017/12/09
てれまこし
11
報道畑出身の首相広報責任者が語る国民投票の内幕。敗軍の参謀だからくやしさがにじむ。いわゆる「スピンドクター」と呼ばれる世論操作のプロだが、意外に真面目。残留キャンペーンに本腰を入れない労働党指導部や、事実ではなく見出しになるニュースばかり追うメディアが戦犯だが、主犯はゴーヴ、ジョンソン、メイといった首相の盟友であったはずの保守党内重鎮だ。権力欲のために嘘や偽善もためらわない「裏切り者」。だが、その三者の背後には複雑な事実を避けて単純な嘘ばかり求める一般有権者がいて、嘘はつかないまでも誘導しないとならない。2024/12/04
BATTARIA
6
イギリスのEU離脱国民投票に関する、キャメロン首相の広報官による敗戦の記録。離脱賛成で大臣は辞めないなんて、保守党の学級崩壊ぶりは失笑の一言で、日本の政治家と大差ないや。トルコのEU加盟でイギリスに移民が等、離脱派のウソ八百のオンパレードや、ちゃんと報じないBBCに怒りを爆発させているが、事がここまでこじれては、何が事実かを明らかにしたって何にもならないことに、著者は愚かにも最後まで気づかなかった。敵の主張は事実じゃないと証明されたところで、敵が過ちを認めて謝罪するわけがないし、大半の国民には無意味だ。2022/09/23