内容説明
飼い主を捜して、無人化した街をさまよう犬…室内でおびえながら縮こまっている猫…本書は福島第一原発半径20キロ圏内に取り残されたペットたちに思いを馳せたボランティアたちの勇気ある活動の記録である。
目次
1 傷だらけになりながらも、牛、鶏を守った忠犬・ゴン太の物語
2 無我夢中で救った60の小さい命―呼びかけ人・山路徹の活動記録
3 犬を探し回り、軒先の植木鉢まで犬に見えて―チームリーダー・大網直子の活動記録
4 「ごめんよ」とつぶやきながら、シャッターを押し続けて―フリーカメラマン・太田康介の活動記録
著者等紹介
山路徹[ヤマジトオル]
1961年東京生まれ。TBSテレビ、テレビ朝日系プロダクションを経て1992年に独立し、国内初の紛争地専門の独立系ニュース通信社APF通信社を設立。これまで、ビルマ、ボスニア、ソマリア、カンボジア、アフガニスタン他、世界の紛争地を精力的に取材する。近年は、国内の事件、事故、災害、社会問題などの調査報道にも取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かいゆう
27
福島第一原発半径20キロ圏内犬猫救出記。2ヶ月間で約60匹の犬猫を救出されたそう。ペットは避難バスに乗せられず泣く泣く置いていくしかなかった。2、3日後には1度戻れるからと言われ置いてきたが2度と戻れないようになってしまった。飼い主さんたちの気持ちを考えると胸が痛みます。犬猫だけでなく、鶏、牛豚など、残された子たちは弱肉強食の世界。ゴン太の首の傷は、見ていられない程ひどいものでした。災害時の支援提携に動物保護も入れられないものか。ワンコの飼い主としては、どうにか守ってあげられるよう、いろいろと備えておかな2016/04/09
Maiラピ
22
福島第一原発半径20キロ圏内に取り残された犬猫救出記。胸が痛くて、読んでる最中ずっと涙が止まりませんでした。ゴン太頑張りすぎだよ。。めちゃくちゃお腹が空いてるのに餌より『人が来た!』ってスキンシップを求めてくる犬たち。側溝の牛、牛舎から逃げない牛。人を信じて待ってる。。。人って矛盾を持ちつつ、葛藤の中で生きているんだなって改めて思いました。立場やその環境、モノの見方で善悪や美醜の判断は様々なのだ、でも今そこにある命を救いたいですね。女優?さん二人が取り合いする山路さんってどんな人って思ってけど。。。2011/09/11
鈴
18
福島第一原発半径20キロ圏内に置き去りにされた犬猫たちを救出しているボランティアの方々の記録。日本人として読むべき本。今の時代の日本でペットや家畜が餓死してしまうなんて、想像を絶する。しかし、今本当に現実に起きてることなのだ。びっくりしたのは、そこで人間と接触せずに生まれ育った子犬までがいる。その子犬たちは人間に馴れることもなく狂暴な野犬化していく。今後どうなってしまうのか、考えただけで恐ろしい。狂犬病の予防接種など、厳しく徹底している日本とは思えない。可哀想な姿の写真もあり、涙が止まらなかった。2011/09/25
ゆにす
13
何と言ったらいいか・・・。この活動した方たちの行動力には驚くばかりです。ボランティア活動にはいろんな矛盾があるかもしれないけど、迷っていたら救える命も間に合わなくなってしまう・・・。内容はよかったけれど、もう少し中身を整理して本を編集してもらえれば、もっとよかったかもと思いました。子どもにも読めるように、話をしぼり、総ルビにして、児童書版を出版してもらいたいです。2012/01/09
まるぷー
10
ジャーナリスト、カメラマン、ボランティアによる福島第一原発20キロ圏内からの犬猫救出記。あの震災と原発事故により、泣く泣く飼っていたペットを置き去りにして避難した人々。家族同様の犬や猫。飼主は、再び一緒に暮らせることを望む。そして、20キロ圏内10キロ圏内に入った山路さんたちは悲惨な状況を目の当たりにしながら、一頭でも多くのペットを救い出そうと奔走する。繋がれたまま餓死している柴犬には涙した。人の命と犬猫の小さな命は違うのか?モノ扱いされた結果が置き去りにされた命だ。2016/04/07