内容説明
東京・国友塾大学で教鞭を執る村主周一郎准教授は、人並みはずれた西洋史オタク。講義内容に合わせ、襟付きマントやバルーンパンツなど、往時の華やかな衣装で熱弁をふるう。ある日、大学構内にある小劇場で、OBの演出家・長谷川の死体が発見される。死亡する直前に彼と会っていた村主は、そのとき受け取った原稿に謎の数字が書かれていたことに気づく。事件を知り、駆けつけた元教え子・橋下純香とともに、村主は真相究明に乗り出す。「歴史」に迫るように、「生きた人間が起こす事件」の真相を探る、歴史をこよなく愛する男の推理とは?血塗られた伝説、怪しげな宝探し、不可思議な暗号…横溝賞作家が贈る、知的でユーモアあふれる連作ミステリー。
著者等紹介
大村友貴美[オオムラユキミ]
1965年岩手県生まれ。中央大学文学部史学科卒業。『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みかん🍊
59
西洋史オタクの村主准教授が事件を解いていく連作ミステリー、大学准教授が主人公だけあって西洋史の薀蓄が豊富で事件以外の部分でも楽しめる、殺人事件もあるが、ミステリーとしてはさほど感心する程のトリックやどんでん返しがある訳でもなく軽く読める作品、最後の表題「奇妙な遺産」が面白かった。2015/01/22
すい
55
前に大村さんの本を読んだ時にも感じたのだが、読み終わった後で「得した」感が強い本だ。講義の内容に即したコスプレをする変わり者の村主准教授が様々な謎を解いていくという短編集だが、登場人物がコミカルなわりにはおどろおどろしい雰囲気を纏ったまま事件が始まっては終わっていく。ラスト、ちんぷんかんぷんな暗号解読がなされた後に込み上げる感動と言うか、なんというか。ちょっと泣けた。暗号を解読して夢を手に入れた純香ちゃんのように、私も読了後に宝物を手に入れたような感覚に陥った。続編が出たら読みたいし、オススメできます!2014/12/28
sora
33
表紙が・・・気恥ずかしくて、ブックカバーをつけて読破しました。話はとても入りやすくていい気分になって読めました。特に最後の叔母の姪を思う心がすごく感じ入りました。下世話な私は、純香の本当の母は叔母の翔子では・・、だから貯金していたのでは、と思ったりしていましたが、純粋な叔母心でした。そういう叔母と姪のつながりって素敵です。 2015/07/24
み
22
ジャケ借りでしたが当たり(^O^)面白かったぁ♪どの短編も好きでしたが、タイトルのお話しが一番かな。やり続けることは大事よね、村主センセの服装もかな?2015/05/21
みい坊
22
コスプレ准教授の華麗なるウンチク推理、とあったのでどんな変わった先生が出てくるのかとドキドキして読みました。村主准教授、コスプレ准教授というほど個性的な印象は受けませんでした。歴史について語りはするけれどもまぁほどほど。これからシリーズになって、先生の個性が出てくるのでしょうか。「奇妙な遺産」最後に翔子さんにやられました。翔子さんの愛情、メッセージ。わざわざ暗号にして、誰も気づかなかったら・・なんて思いもしたものの、だからこそ、いつまでも忘れないでね、あの頃のことをという思いが強く響いてきました。2014/10/17