内容説明
権力者が創った正史。民衆が望んだ稗史。そして、ほんとうにあったこと。西表島には、源為朝の墓があるという。源義経は、頼朝による追討の手を逃がれ、大陸に渡ったという。琉球は、その始まりから、我が国の兄弟であったという。そして、日本国こそは、世界に先立って開かれた神国だという―。「歴史」に織り込まれた、事実と思惑と祈りを、丹念に鮮やかに解きほぐす、瞠目すべき傑作ミステリ。
著者等紹介
高井忍[タカイシノブ]
1975年、京都府生まれ。立命館大学産業社会学部卒。2005年、「漂流巌流島」で第二回ミステリーズ!新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二分五厘
20
日本史は好きなんだけど、独自の歴史を歩んだ琉球史は知らない事が多いです。『琉球王の陵』日本海海戦の直前、東郷平八郎と秋山真之が西表島で見つけた"源為朝の墓"とは。『蒙古帝の碑』間宮林蔵が、シーボルトが仕掛けた"義経伝説"。『雨月物語だみことば』上田秋成が"雨月物語"に仕込んだ寓意。『槐説弓張月』滝沢馬琴と遠山の金さんが、饅頭片手に"為朝を担ぎ出した"人物の真意を解く。『蜃気楼の王国』ペリーが修好条約を結んだ実態のない幻の王国、それは琉球なのか。それとも日本なのか。緩やかに繋がる小国の生き残りを掛けた道。2017/01/14
Syo
16
今度は、遠山の金さんか。 琉球に蝦夷。 そして、義経伝説。 そっか、琉球は源為朝か。 最後にペリー。 そうそう雨月物語も。 実に興味深い。 あんまり面白くはないけれど。2017/12/09
Norico
16
源為朝が琉球で王になっていた、という謎を追う歴史ミステリ。源義経のチンギスハーン説なんかもでてくるし。遠山金四郎、滝沢馬琴、北斎も登場して、ゼイタク。ちょっと読みにくい部分もあるけど。あったかもしれない謎、っていうのはとっても魅力的。それにしても琉球王国というのは、不思議な国だなあ。2014/11/09
ポチ
13
2016.4読了 合わなかった…。2016/04/06
遊々亭おさる
12
悲劇の最後を遂げた◯◯は実は生き残っていて、遠い異国の地で八面六臂の活躍を繰り広げ、彼の国の歴史にその名を残していた!…。史実のその先の物語を残し語らう、これすなわち稗史と言うなり。冊封体制に組み込まれる琉球国や、大陸を横断し猛威を振るったモンゴルなどで、「そうであってほしい」と願う民草の夢とロマンを背負う英傑どもが生まれた真意とは?珍説・奇説たちの意外な効能。その影も形も失い、ただ歴史にその名を残すのみとなった琉球国を透かして現代日本の末路を警告する予言の書か。『坂の上の雲』のあの人も、絶賛出演中。2014/05/19