内容説明
金融界の寵児・財田剛の長女の結婚式に現れた東都経済新聞の記者・西山照明が不審な死を遂げた。一方、金融探偵・七森恵子は、覚醒剤所持の罪で服役していた旧友の遠藤環を出迎える。その直後、恵子は追いかけてきた円経済研究所の調査員・秋場弦太のベンツに無理やり乗せられ、円詠一から強引に仕事を依頼される。依頼内容は、財田の運営する巨大ファンド“モネタ・ファンド”の調査だった。毎年確実に利益を上げ、リーマンショックの年ですら利回りを叩き出したという奇跡のファンド―その秘密を探るべく、恵子はパートナーである如月浩二郎とともに潜入捜査を開始する。しかしそこで思いもかけない人物と再会し―。
著者等紹介
井上尚登[イノウエナオト]
1959年神奈川県生まれ。東海大学工学部卒。会社員を経て放送作家となる。’99年、『T.R.Y.』で第19回横溝正史賞を受賞。2012年公開のアニメ映画『チベット犬物語―金色のドージェ』では脚本を手掛けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
181
面白かった。金融探偵ということで調査するのは特殊な分野。短編集のようだった前作と比べて長編である。今回、金融の裏話は深く掘り下がらないのだが、その分、親友や人となりにかかわるエピソードが加わって人物が彫り下がった。せっかくの過去のエピソードは事件そのものと深くかかわらないのがやや不満だが。また、最後の美咲の変節はちょっと説明不足だが。ちょっとしたドンデン返しやサプライズもあって楽しませてくれた。読書としては満足した。2020/01/24
タックン
55
シリーズ第2弾みたいだね。1弾目読まなくてもそれなりに面白かった。 金融でも投資とかファンドの話でわかりにくい用語(オフショアとか)があってちょっと難しかった。そうゆう意味では池井戸さんの方が読みやすいかな。 でも不正を暴き勧善懲悪で終わってるので読後感はいい。要は投資で儲けようとしてる富裕層への警鐘だなあ。ヒロイン七森や相棒とかのキャラいいから面白い。高校の同級生の友情物語はでき過ぎって感はあるけどいい感じかな。最後のどんでん返しには驚いたけど。お勧めだから読んでねえ。2013/06/21
むつぞー
23
今回は金融事件というより高校時代の友人の方がメインでしょう。 というか個人的に金融よりもこちらの方に興味を惹かれます。 だからと言って、事件や金融の仕組みもなるほど~というものであって面白くないというわけではありませんよ。 優秀すぎるファンド、その周囲で起こる不審な事故死、これはこれでしっかりミステリしてます。 でも私は高校時代の大切な友人との関係が一番気になるのよ。大切な思い出で繋がった友人だからこそなのかなぁ。 それに七森恵子、彼女自身をもっと知りたいと思っているからかも。2013/04/30
れみ
21
金融探偵・七森恵子シリーズ、2作目。利益を出し続けるファンド、それに関わったり秘密を探ろうとする人物たちに起こる事件が、主人公の恵子や高校時代の同級生たちの身にも迫ってくる…というお話。社会人になって、意外なところで意外な人が繋がっているようなこともありますが、このお話のなかでは、まさに、なんて遠いところまで来てしまったんだろう…という感じ。それでも、変わっていくことは仕方ないのかもしれないけれど、そこでまた良い関係が築けたら、良いんですけどね。2013/11/20
えむ
18
モネタはローマ神話の女神ユーノ・モネタからとった。古代ローマで最初の造幣所がモネタを祀った神殿のなかに設けられ、ここでつくられたコインの多くにはモネタの顔が刻まれていたことから、いつしかモネタがコインの意味を持つようになる。それが英語のマネーの語源だとも言われていた。つまりモネタ・ファンドは<お金の女神>のファンド。淡々と話は進みました。感想は中の中。612013/07/02