内容説明
喧嘩の強さと明るさだけが取り柄のチンピラ中年男(46歳・現在無所属)と、笑わない女、29歳。アンバランスな二人が恋をして、彼女のお腹に赤ちゃんが宿った。おめでたいのはおめでたい。でも実はそれどころではない。男は古巣の組に復帰する条件として出された指令を遂行し、匿われている最中なのだ―。
著者等紹介
中場利一[ナカバリイチ]
1959年、大阪府岸和田市生まれ。94年『岸和田少年愚連隊』でデビュー。絶妙な語り口と破天荒な登場人物を人間味溢れる視点で描き、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
39
違う形で自分の寂しさを現わす男と女。お互いを鏡の中に映る自分と捉えているような、不器用な接し方だけど優しさが含まれている。義理と人情の中で生きてきた男が「パパ」になる日を指折り数えながら本当は変化している。でも、やっぱり永年の生き方はそう簡単には代えられない。女も身についた笑えない心は変わらない。でも、いつまでもそうやって自分たちの傷をなめ合って暮らすことはできないんだよ。子供が生まれると同時に新しい自分たちも生まれる。今まで経験してきたことのない役柄。それを踏まえて過去をきれいに清算してほしい。2012/10/08
hideboo
5
好みは分かれると思いますが、中場さんらしい作品で、出張中の読み物としては最適でした。今をうまく生きられない昔気質のヤクザって、(知り合いはいませんが)まさしくこんな人だろうなと思います。また、笑わない鏡子というキャラもなかなかでした。そのままVシネマになりそう。2012/03/15
パンダ
4
笑わない鏡子とやくざの八代の物語。鏡子は何となく小雪のイメージでした。鏡子のひたむきさやブレない性格が良かったです。八代の乱暴ぶりにハラハラしたり、鏡子への優しさにホロッとしたりしながら読み終えました。2015/06/24
頼ママ
4
指の欠けたヒトが私の周りには当たり前のようにいるので、何の違和感もなく読めました。いるよね、こういう夫婦。でもリューちゃんはちょっとツッパリ過ぎちゃったかな。指が欠けた過去があるんなら、最後はやっぱりガマンしないとね。子供もできたんだからさ。それが本当のオトコってもんでしょう。リューちゃんに広島の桜を見せてあげたかったな・・・2012/06/23
ぽろろ
3
登場人物も設定も自分の世界とは離れ過ぎているけれど、行動も心情もわかる。わかるような気がしているだけかな。2014/05/14
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