内容説明
そのホテルは犯罪者たちの楽園。守るルールは2つだけ。一、ホテルに損害を与えない。二、ホテルの敷地内で傷害・殺人事件を起こさない。ルールを破ったらホテル探偵が必ずあなたを追い詰めます。
著者等紹介
方丈貴恵[ホウジョウキエ]
1984年、兵庫県生まれ。京都大学卒。在学時は京都大学推理小説研究会に所属。2019年、『時空旅行者の砂時計』で第29回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。続く長編『孤島の来訪者』は、「2020年SRの会ミステリーベスト10」第1位に選出、長編三作目となる『名探偵に甘美なる死を』は第23回本格ミステリ大賞の最終候補となるなど、本格ミステリ界の新鋭として注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
278
王様のブランチBOOKコーナーで紹介されたので読みました。方丈 貴恵、初読です。トリックよりも設定や雰囲気を楽しむミステリでした。 犯罪者専用の会員制ホテルだと、入会金や年会費は相当高額なのではないでしょうか❓ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001626.000021468.html2023/11/21
パトラッシュ
240
特殊設定ミステリに強くこだわってきた作家だが、時間旅行に異世界生物、VRゲームと特異な領域へのこだわりすぎが読者の範囲を狭めていた。それを反省したのか犯罪者専用ホテルというコミカルな設定で、被害者や加害者は無論、従業員や解決に挑むホテル探偵まで全員が裏社会の犯罪者でありながら殺人事件が起きる状況は理解しやすい。鑑識やカメラチェックなど通常捜査が望めない中で僅かな情報を頼りに推理していくが、解決後は犯人の「処理」まで任されている探偵など前代未聞だろう。動機やトリックも考えられており、今年の収穫といえる1冊。2023/08/19
麦ちゃんの下僕
158
「アミュレット・ホテル別館」は“犯罪者御用達”…2つのルールさえ守れば、毒薬や武器の調達などどんなサービスでも受けられる。ただしルールを破った場合、優秀なホテル探偵が秘密裏に“処理”することになるので、ご注意を…。/「竜泉家の一族」シリーズでは、特殊設定をベースに緻密に練られたプロットで読者を唸らせた方丈貴恵さん。本作は4編から成る連作短編集で、特殊設定ではないものの緻密なプロットは健在です。ただ個人的には、短編なのでもっとシンプルで良かったのでは?と…詰め込みすぎて焦点が不明瞭になっている気がします。2024/01/14
しんたろー
157
特殊設定ミステリの新星・方丈さんの新作は、ホテル探偵・桐生が活躍する連作短編…ネタバレになるので詳しく書けないが、主役である桐生の魅力が今一つ書き切れていない印象が残って少々消化不良。とは言え、各話の奇抜なトリックやロジックの展開はミステリとして標準点以上と思えた。著者の『竜泉家シリーズ』のようにジックリ楽しむ作品とは趣を変え、ミステリを軽く楽しむ為に創られた気がする。舞台劇を観ているかのような楽しさがあるし、脇役たちも悪くないので、シリーズにするなら次は長編にして人物像を厚くすれば更に面白くなると思う。2023/10/23
R
152
ミステリという娯楽を堪能させてくれる小説だった。設定は、なんだそれという感じだが、そこに意味はなく、トリックを解いていく楽しみが詰まった短編連作。通しての物語もあるんだが、基本的にはどういうトリックであったか、それを探偵役と一緒に読み手も解いていくというもので、さくさく読めるし、そういうパターンだったかとしてやられたりというミステリのあれこれをあますことなく経験させてくれるようでよかった。難しく考えず、さらっと読んでしまえる小説だった。2023/11/13