内容説明
遺体の入った棺が、市内で次々に発見された。動機の見えない一連の殺人を繋ぐものは、現場に残された中国妖怪「地羊鬼」の名前のみ。新米刑事・八木沢は、オカルト担当を自称する警部補・林原とコンビを組み捜査を進める。だが、過去の連続児童誘拐殺害事件、密室変死事件との関連が浮かびはじめ、事件の全容はもはや人間の手に収まらないものになっていた―。
著者等紹介
大島清昭[オオシマキヨアキ]
1982年、栃木県生まれ。筑波大学大学院修士課程修了後、妖怪研究家として研究・執筆・講演を行う。2007年、『現代幽霊論―妖怪・幽霊・地縛霊』を上梓。2020年、「影踏亭の怪談」で第17回ミステリーズ!新人賞を受賞し、2021年、連作短編集『影踏亭の怪談』で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
143
ホラーミステリの一冊。読後感はさておき、なかなか興味深い呪術の世界とミステリが絡み合うホラーミステリだった。棺に入れられ、内臓を模型に代えられた遺体が次々と発見された事件を機に中国の妖怪・地羊鬼、呪術と拡がりを見せながら犯人と過去の連続殺人事件までの繋がりを探るストーリー展開。彼らは地羊鬼に選ばれた被害者?選ばれた者の共通点は?と、じわじわと地道な時々光る推理が導いたこの結末に言葉が出ない。最近、思う。呪詛や人の恨みも怖いけれど、淡々と話す人間が一番怖い。心は空っぽか、模型なのか、怖い。つくづくそう思う。2023/01/04
yukaring
106
中国の妖怪『地羊鬼』をモチーフにした連続猟奇殺人で、大島さんらしいホラー×ミステリの醍醐味をたっぷり味わえる作品。人間の内蔵を木や土に変えてしまうという言い伝え通り、棺の中の全裸遺体は内蔵が模型に変えられ棺には『地羊鬼』書かれた赤い文字が・・。呪いの木札や人ならざる者の目撃者証言、心霊スポットで起こる怪奇現象などかなりホラー色が強く妖怪研究家が語る中国の呪術もとても興味深い。過去の不可解な事件との関連を見つけたオカルト担当警部補、新米刑事、妖怪研究家が奔走するが、深い闇が生み出す狂気の結末には鳥肌が立った2022/12/24
aquamarine
97
中国妖怪を模倣した連続猟奇殺人事件。新米刑事・八木沢は警部補・林原とともに妖怪研究家という肩書の船井の協力を仰いでオカルト方面からも猟奇殺人を追う。ふと現れる得体のしれないもの、心霊スポット、加えて過去の連続殺人とのつながりも示唆され、物語自体がホラーやオカルトなのか、科学的に説明のできるミステリなのか、その境界線が曖昧で絶妙で、自分が境界線上でゆらゆらしているような気がしながら読み進めた。怪しい人物はわかりやすいがその動機に震えがくる。まさかこんなラストと後味が待っていようとは誰が想像するだろう。2023/01/11
ゆのん
81
『怪談』といえば誰もが1度や2度は耳にした事があるだろうし、1人や2人は遭遇したという人に会った事もあるだろう。今作は地方独特の怪談が登場する。冒頭の不審者、怪談に続き小学校での猟奇事件の遺体発見、10年前の未解決連続児童誘拐殺害事件、登場する怪談専門家…。一見バラバラに思える全てが少しずつ繋がっていくのは気持ち良い。ホラーとミステリを同時に堪能出来るのも嬉しい。語り手である新米刑事と同時進行で読者である私も真相に近づくが…。まさかのラストはゾッとさせられた。やはり1番怖いのは人間か。2022/11/07
えみ
79
捜査は賭博ではないのだから、ありとあらゆる可能性を計画的に探ることが重要だと…そう思っていた。だけどどこにでもイレギュラーなことは存在する。呪い…そして霊的な何か…常軌を逸している人以外のモノはどうしたってその暴走を止めることはできない。臓器を抜かれた死体が発見され、捜査を始めた八木沢たち刑事が巻き込まれた科学では証明できない“何か”が怖い。果して、巷で噂の地羊鬼という謎の妖怪の仕業なのか。一人死に、二人死に、そして三人を超え、警察署の人間にまで死人が出てきたあたりから「何か違うぞ」という気配に恐怖する。2022/12/30
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