出版社内容情報
不世出の天才棋士、天野宗歩。表向きは病死とされているが、死因は謎めいている。後に棋聖と呼ばれた天才棋士の生き様に迫る。
内容説明
史上最強、伝説の棋士。ライバルなき孤独な天才を描く新たな将棋小説。幕末の棋聖、天野宗歩将棋という修羅の道に溺れた男。数奇な人生と謎めいた死に迫る、二十一人の証。
著者等紹介
谷津矢車[ヤツヤグルマ]
1986年東京都生まれ。2012年「蒲生の記」で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』でデビュー。’18年『おもちゃ絵芳藤』で歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
155
天野宗歩の生涯の物語。将棋に知識がある人には面白く、将棋が趣味で大好きな人には物足りないかな。江戸の角使いの名手で名を通す天野宗歩を知る21人の視点から、天野宗歩の人となりを証していく。その21人の証言から、天野宗歩、意外と勝ち負けには無頓着かもしれないが、間違いなく天才であり、そして、破天荒で孤高なのであろうと思われる。とくに破天荒さは、どこか舛田幸三に似てる気がする。名局もあるので、対局シーンが多ければ良かったと思うけど、これはこれで面白かった。2023/04/20
ポチ
44
駒の動かし方しか分からない私では、何を言っているのやらとなり、そこは残念でした。宗歩がいかに孤高で凄い人だというのは分かりました。2023/12/13
PEN-F
43
将棋の世界のことはよく分からんが、宗歩の生き様は身を置いている世界こそ違うが風神雷神図屏風でお馴染みの俵屋宗達の生き方に酷似していると思いました。2023/10/06
まる
37
江戸末期の天才棋士・天野宗歩の生涯を、宗歩を知る21人の証言で辿る。 八十一升の中でしか生きられない。あまりに強すぎて対等に指せる相手がいない。孤独を癒してくれ、市井の者と対等に話すために酒をあおる。それでも「角」は斜めにしか動けない。成らない限り到達できない升がある。 勝負師の孤独が切ない。面白かった。 2022/08/25
昼夜
17
81升に宿る神に魅入られた男の一生は切磋琢磨する戦友を得るための旅だった。盤面に臨む背中を見ていると彼が見ているものと同じものを見てみたいとチラッと思いましたが、命を削るように指す姿勢にこれは無理だと悟りました。最初はこんな人いないだろうと試しに名前を検索したら江戸時代の棋譜が出てきたのと将棋は今でこそ実力主義ですが昔は世襲制で今とは全然違う棋士のお役目があったのも驚きでした。2022/05/14