あとを継ぐひと

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  • サイズ 46判/ページ数 240p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784334913434
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

物事がハイスピードで変わりゆく世の中で、親から、先輩から、会社から変わらず”受け継ぐ”ものを描いた全6篇のお仕事小説短編集。

内容説明

下町の駄菓子工場の女社長・万純(30)は、新事業もうまくいかず、恋人もおらず、愚痴を言えるのは幼なじみのマイナーサッカー選手の翔太(28)だけ。母から結婚を急かされるなか、翔太からプロポーズをされるが(「女社長の結婚」)。トランスジェンダー(MtF)の範之(27)は、実家の老舗旅館に戻って仲居の修業中。しかし女性の格好をする範之を、母である女将がなかなか認めてくれず(「若女将になりたい!」)。障碍者を多く雇用する会社に中途入社した翼(25)。同じ部署の障碍をもつ伊藤さんとどうコミュニケーションを取ってよいかわからなかったが(「わが社のマニュアル」)。働き方、暮らし方、生き方に惑う現代人に贈る、6つの“あと継ぎ”物語。

著者等紹介

田中兆子[タナカチョウコ]
1964年、富山県生まれ。2011年「べしみ」で「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞。同作を収録した『甘いお菓子は食べません』でデビュー。2019年『徴産制』で第18回Sense of Gender賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おしゃべりメガネ

186
いいなぁ、R18文学賞作家さんとはいい意味でちょっと思えないほんわかした作品でした。タイトルにもあるとおり、'あとつぎ'として様々な立場、境遇の人物達が悩める6編の短編集です。個人的にぶっちぎりで好きな話は障碍者と働く主人公の話『わが社のマニュアル』で、感情表現が苦手な女性事務員さんのキャラがステキすぎでした。北海道民には嬉しい日ハムファイターズを応援するサラリーマンの父とOLの娘の話もほんわかしており、こんな親子に憧れますね。トランスジェンダーの話も書かれており、かなり味わい深い素晴らしい短編集でした。2020/12/03

❁かな❁

164
デビュー作から追いかけてて全部読んでいる田中兆子さんの作品を読むのは5作目。まだ発売前ですがnetgalleyで読了。『私のことならほっといて』のようなバラエティ豊かな大人の短編集も大好きだけど今作のようなじんわり温かい短編集も素敵。6つの職業につく人たちのお話。どの章も良かった。登場人物たちの心理描写が細やかですごく伝わる。色んな人の気持ちになり胸に沁みた。6つの職業について書かれてるのでお仕事小説ではあるけど、家族愛や人間関係など丁寧に描かれていて温かい気持ちになれる作品。田中兆子さん大好き。2020/04/14

なゆ

130
読み終えて気づいたが、単に家業の跡継ぎ問題の話ばかりではなかった。そりゃそうだ、継ぐものはなにも家業だけではないのだから。チョークの会社でのマニュアルには頼れない関係の築き方とか、それぞれ会社勤めの父親と娘の話とか、形はなくともつながるものはある。自分が継がなかった親の農場を、息子が継ぎたいと言い出す話も、期待した結末とは違ったがとても現実的で逆に清々しい。誰かから自分へ、自分から誰かへ、何かを継いでいくこと。家族やさまざまな職場の“継いでいくもの”をサクッと温かく描かれて、柔らかい兆子さんもとてもいい。2020/07/11

ムーミン

128
親子のつながり。温かい作品群でした。2023/09/27

sayuri

126
「後継ぎのいない理容店」「女社長の結婚」「わが社のマニュアル」「親子三代」「若女将になりたい!」「サラリーマンの父と娘」6話収録の短編集。『継ぐ』をテーマに6つの職業現場で織り成される人間同士の交わりを丁寧に掬い上げた温かい作品。どの短編もそれぞれに異なる趣があってとても良い。『人から聞いて知ったかぶりをするんじゃなく、じかに交わる事で段々わかっていくもの』など心に響く言葉が散りばめられている。父亡き今、もっとたくさん話を聞いておけば良かったと今更思う。父の志が自分の中に多少でも引き継がれていれば嬉しい。2020/05/27

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