出版社内容情報
村木嵐[ムラキ ラン]
内容説明
熊本藩の大秀才、井上多久馬(後の井上毅)は、戊辰戦争によって傷ついた会津若松城を見上げ、学問を用いてこの国を豊かにすることを誓う。やがて欧州各国の法律を学び帰国した多久馬は、統一した法を持たぬ未開の地として不平等条約を結ばされた日本にも、独自の憲法が必要だと痛感する。多久馬は岩倉具視や伊藤博文などの理解者と憲法草案の研究を進めるが、諸外国には決してない「二千五百年も続く皇室」の信頼に応えられるか苦悩する…。国のために才を尽くした井上毅の実直な生き方と、家族愛に溢れた人間性を丁寧な筆致で書き下ろした、長編時代小説の傑作誕生!!
著者等紹介
村木嵐[ムラキラン]
1967年京都市生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て’95年より司馬遼太郎家の家事手伝いとなり、夫人である福田みどり氏の個人秘書を務めた。2010年、『マルガリータ』で第17回松本清張賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちぃ
38
憲法草案を書いた井上毅(多久馬)を中心として描かれる激動の時代を生きた男たちの歴史物語。あの辺の時代の人たちの先輩後輩関係とか友好関係とかよくわかってませんでしたがその辺りの人間模様がわかってとても面白かった。天皇陛下の退位とか女性宮家などいろんな皇室関係の議論が盛んな中で、なんで皇室典範が今みたいな形になったのだろうということも辿れてとても興味深かったです。2017/04/24
洋
33
前知識はまったく持たず装丁だけで手にしたジャケ借り。(たぶん今「はねろ!コイキング」にはまってるから鯉つながり笑)外国で法律を学び、日本に相応しい独自の憲法が必要と国の為に働いた井上多久馬の物語。皇室の役割、政治、教育、次の世代がどうなるかを考えることの重要性は 明治の時代も今も一緒のはず。2017.01.202017/06/04
誰かのプリン
17
戦前の大日本帝国憲法を作った男 井上毅の生涯を描いた作品。 如何に憲法を作成する事が困難なことかを知らされた。 また、皇室典範、教育勅語も手掛けたとは凄い。2017/05/30
ともがら
7
この方の業績って全然知らなかった 著者の村木さんに感謝 この方は素人さんを奥さんにされて好感がもてる 史実では後妻さんだそうだが 本書とは関係ないが、なんであんなにあのころ芸者さんと結婚したんだろうな yamatoshiさん、そのあたりのことわかるものご存知ありませんか2017/11/02
さらちゃん
4
明治の偉人。三傑以外にも様々な偉人が明治という時代を作り、現代の礎となっていることをあらためて思い起こさせてくれる物語。もう少し読みごたえがある展開にできなかったものだろうかと、少し残念に思う。星3つ2017/02/25