出版社内容情報
トランクルームの密室。白い粉が舞い散る殺人現場。名探偵・南美希風が不可能犯罪の数々に挑む、「国名シリーズ」第一弾!
内容説明
カメラマンの南美希風は、大学の後輩たち五人を連れ、山間部のコテージへと夏合宿にやってきた。翌朝、中央広場のT字形の案内板に磔にされた首なし死体が発見される!被害者は合宿に参加していなかった学生と判明。死体に異様な演出を施した犯人の目的やいかに?(表題作)名探偵・南美希風が四つの怪事件に挑む、柄刀版“国名シリーズ”第一弾!
著者等紹介
柄刀一[ツカトウハジメ]
1959年、北海道生まれ。公募アンソロジー『本格推理』シリーズ(光文社文庫)への参加を経て、’98年『3000年の密室』で長編デビュー。ロマンティシズム溢れるテーマを揺るぎない論理で展開する知的な作風で、多くの熱狂的な支持を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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二分五厘
18
柄刀一版″国名シリーズ″。南美希風と、交流シンポジウムで来日したアメリカの法医学者・エリザベスが、その期間中?に日本各地で起こる怪事件を解決していく第一短編集。『ローマ帽子』殺害現場の帽子だらけのコンテナに残された四角い跡の謎。『フランス白粉』殺害現場に不必要に撒き散らされた白粉の謎。『オランダ靴』殺害現場に向かう、ぬかるみにつけられた行ったきりの木靴の足跡の謎。『エジプト十字架』コテージの広場の案内板に、T字形に磔にされた首なし死体の謎。論理的な追い詰め方とか一番面白いんだけど、犯人策に溺れすぎだなぁ。2024/12/24
ニョンブーチョッパー
7
★★★☆☆ 端正なたたずまい。不要な部分を削ぎ落とした感じは、少し、米澤穂信『可燃物』と似た印象。もうちょっと物語的に「余白」があったほうが好きかな。ノンブルが資格で囲われていて、ちょっと特別感あり。2024/03/16
UPMR
7
久しぶりの南美希風シリーズ。トリックメーカーの印象が強い作家だが実は本家クイーン流のロジックも決して疎かではないことを見せつける一冊。…なのだが、マニア以外に訴求するほどの魅力があるかは怪しい。ロジック重視の作風は序盤が多少平板になるのを覚悟で伏線を丁寧に撒く必要があるが、この作者の妙に回りくどい文章でそれに付き合うのがだるい。一つ一つの推理はしっかりしているから満足感はあるものの、シリーズキャラの魅力が乏しく、連作全体のテーマ性がないからいつもの鼻につくロマンチシズムも機能していない。長編だと化けるか。2022/06/01
はんく
3
キャリア的にもう「不可能犯罪の巨匠」と称してもおかしくない柄刀が文字通り自家薬籠中のJ・D・カー風作品から犯人当てと、そのための完璧なロジックを要するエラリー・クイーン風作品へと守備範囲を拡げた短編集。あくまでもフェアに隠し事なく読者に手のひらを見せながらほんの僅かな閃きと論理の積み重ねでただ一人の紛れもない犯人を暗闇からスポットライトの輪の中に引き摺り出して見せる。4編とも本家の名を借り(エジプト十字架はその面影を残すが)つつ全く違ったシチュエーションを採用しオリジナリティ溢れる出来栄えになっている。2024/06/29
しまこ
3
初読み作家さん。 法医学者のエリザベスと美記風のコンビが活躍するミステリー。 それぞれ、一風変わったトリックで新鮮でした。 男言葉を習得してしまったエリザベスのかっこいい雰囲気も良かった笑2024/04/26