出版社内容情報
伊佐との祝言を控える小萩のもとに、鎌倉から両親がやってきた。喜びに胸を高鳴らせる小萩だが、新生活は波乱続きで……。
内容説明
周囲にお膳立てされるままに祝言の日を迎えた小萩と伊佐。鎌倉から両親と祖父母もやってきて、賑やかな宴が開かれた。喜びを噛みしめる間もなく、見世の仕事に加えて、近所付き合いにも悩まされる日々―。そんな折、山野辺藩留守居役の杉崎から、藩の顔となる新しい菓子を考案してほしいという大きな仕事を命じられる。小萩の新妻ぶりも楽しいシリーズ第九弾。
著者等紹介
中島久枝[ナカジマヒサエ]
フードライターとして全国のおいしいお店や素敵な人々をたずね、歴史や文化とともに新聞や雑誌に紹介。読売新聞土曜日夕刊に隔週で「甘味主義」を連載中。著書に『和菓子 人と土地と歴史をたずねる』(柴田書店)ほか。2013年、『日乃出が走る―浜風屋菓子話』でポプラ社小説新人賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タイ子
99
シリーズ第9弾。小萩と伊佐が祝言をあげた。好きな人と一緒になれて幸せな小萩だけど、これからは妻と菓子職人をやっていかなくてはならない。伊佐の優しさが長屋の口やかましい主婦連中には目障りらしい。こんな長屋でやっていけるのかしら、不安は募るばかり。そんな時、伊佐が最期まで面倒を看ていた大工の形見の墨壺が高く売れた。長屋の住人がおこぼれにあずかろうとすり寄ってくる。お寅さんの一言がカッコいい!小萩の友人・お文ちゃんのお見合い話、山野辺藩からのお菓子の依頼。新婚気分を味わいながら次への夢に向かって小萩、がんばれ!2022/03/29
おしゃべりメガネ
85
シリーズ第9弾。装丁にあるようにやっと祝言へとたどりついた「伊佐」と「小萩」。当事者の二人とは裏腹に、とにかく周りの人間が無駄に騒ぎたてる雰囲気にちょっとうんざり気味でもありましたが、なんとか祝いの場になりました。なんだかんだと二人の生活が始まり、近所付き合いも含めて色々と大変そうな「小萩」。そんな中、「伊佐」が形見分けでいただいた、とあるモノがちょっとした騒動へと発展します。ちょっと伝わりづらい「伊佐」の優しさにほっこりします。結局は「伊佐」はしっかり「小萩」を愛してるんだなぁとこちらが照れちゃいます。2024/10/27
やま
68
3年前に鎌倉のはずれの村からやってきて、お江戸日本橋の二十一屋という菓子屋で働く小萩は、つきたてのお餅のようなふっくらとした頬に黒い瞳、小さな丸い鼻。美人ではないが愛らしい顔立ちの娘だ。此度、好きな職人の伊佐と一緒になり。いままでよりも菓子への取り組みが違ってくる。小萩のけなげで、明るく、人の話をよく聞き、スッと人に寄り添う。そしてお菓子を作るのが好き。これは将来が楽しみです。読み終って心がほんわかとしてきます。シリーズ9作目。2022.03発行。字の大きさは…中。2022.8.4~5読了。★★★★☆2022/08/05
ひさか
47
2022年3月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ9作目。牡丹か萩か,祝い菓子、忘れがたみの大工道具、雲海の城と御留菓子、菓子で巡る旅の思い出、の4つの連作短編。小萩と伊佐が世帯を持ちましたが、果たして、この先どうなるんでしょう。心配です。2022/08/22
kagetrasama-aoi(葵・橘)
45
「日本橋牡丹堂菓子ばなし」第九巻。『あたらしい朝』表紙絵が素敵、おめでとう。心がこもったお式とお祝い菓子に本当に良かったなぁ…と。伊佐が住んでいた長屋で新婚生活をそのままスタート。慣れない長屋暮らしで大変なこともあるけど、前向きに頑張るのが小萩だよね。二人がどうなって行くのかとっても楽しみです。そうそう、お文の行末も気になります。次巻で椿の櫛の謎が解けて欲しいです。今巻は勝代が名前だけの登場だったので、心穏やかに読めました(o^O^o)。読んだばかりなのに、次巻が待たれます。2022/07/06