出版社内容情報
ミモザの父・閑に封筒が届いた。チョークで描いた薔薇の絵の写真、裏には「四月二十日。零時。王国にて。」とあったが――。
内容説明
和久井ミモザは、死の床にある父親に届いた薔薇の絵の写真と不可解な手紙に導かれ、大阪に赴く。指定された廃墟のようなビルにいたのは正体不明の三人の男。ここを「王国」と呼ぶ男たちは、父の過去を話し始める。かつて「王国」で起きた忌まわしい事件が語られるうち、ミモザ自身の真実もまた明らかになり―。愛と罪、贖罪が重なり合う、哀切と衝撃の傑作長編。
著者等紹介
遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。’16年、『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベストテン」第1位、’17年、『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
95
遠田潤子10冊目。死の床ある父・閑に届いた薔薇の絵の写真と不可解な手紙に導かれ、息子の和久井ミモザは、大阪の指定された廃墟のようなビルに赴く。そこには、ここを「王国」と呼ぶ正体不明の3人の男がいた。かって「王国」で起こった忌まわしい事件の真相が語られる中で、ミモザ自身の思いも寄らない人生も明らかになる。今回も登場人物は、目を背けたくなるような修羅場や耐え難い人生を歩むことになる。読んでいても心が痛む。今回は、特に母親の明日と娘の白墨の人生が哀しく切ない。人にとっての幸せとは何か、改めて考えさせられた。 2023/05/17
H!deking
79
うーん、今回もなかなか重たいお話でした。遠田さんの作品は毎回色々考えさせられます。2022/05/25
fwhd8325
76
遠田さんの作品はいつ読んでも新鮮な感覚になります。これでもかという悲惨な展開のようですが、そこに人間臭さを感じます。この物語にしてもいささか非現実的な要素があるものの、その中にある現実感が物語への好奇心を駆り立ててくれます。夢中で見ていた大映ドラマのような感覚に近い者を感じます。2022/05/24
のり
71
白墨の王国は複雑に絡み合った事情があり、4人の男達を生涯縛りつける事に…犠牲になったのは世代を跨いだ子供達。母親の愛情を得る時間画像あまりにも短かった。何が最善だったのか?皆がそれぞれ罪を背負い苦しみながら答えを求めていた。正確な答えはないが、共有のは理解はあった。負の連鎖はここに断ち切る。2022/10/10
ピロ麻呂
32
遠田作品らしい不幸のオンパレード😅作中にもあった「普通」の人生をみんなが求めてるんやよ。この作品が読者の心に響くのも、自分が「普通」だと再認識したいから…なのかも。2022/05/02