出版社内容情報
「鎮憎師」は哀しき事件の真相を見極め、憎しみの炎を消すことができるという――。本格ミステリーの可能性を拓く傑作
内容説明
大学時代のサークル仲間の結婚式の二次会に招かれた八人の同窓生。三年前のある事件以来疎遠になっていた熊木夏蓮と再会し、翌日も集まることになった。しかしその日、夏蓮は死体で発見される。犯人は八人の中に!?メンバーの赤垣真穂は、叔父から「鎮憎師」なる人物を紹介される。事件を上手に終わらせてくれる人だという―。斬新な設定に唸る本格ミステリー!
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部を卒業後、食品会社に勤務。2002年、光文社の新人発掘企画「カッパ・ワン」に応募した『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。’03年刊行の第二長編『月の扉』は、各種のランキング企画に上位ランクインし、日本推理作家協会賞の候補にもなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
JACK
20
○ 結婚式の二次会で久しぶりの再会を喜ぶテニスサークルの仲間たち。しかし楽しいはずの夜にメンバーの夏蓮が殺され、他のメンバーは容疑者になる。彼女は三年前の心中未遂事件の生き残り。誰が、なぜ彼女を殺したのか。憎悪を鎮められるという「鎮憎士」なる人物は復讐の連鎖を止められるのか。クローズドサークルで論理的に事件を解決しようとするサスペンスですが、警察でも探偵でも無い第三者「鎮憎士」が目立たないところで動くので非常に地味。物語としては面白いのですが、設定を活かしきれていない印象を持ちました。残念。2022/02/05
ぶんぶん
18
【図書館】タイトルに? 鎮憎師?? 面白そうな設定に、思わず借りて来た。 要するに復讐の連鎖を止める人物の事で探偵では無い。 といっても犯人を特定しなければ、それによる復讐が見えない訳で、その点は関係者に犯人捜しを任せると言う物。 ちょっと苦しい場面もあるが、設定が新鮮なのでスイスイ読める。 二人組(兄妹)というのも第三者とか潜入の場合も考えての事だと納得。 でも、一つの事件に潜入を繰り返していたら、それも大変(笑) ともあれ、すんなり読める好編でした。 石持浅海、とんでもない事を考えるものだ。2021/09/20
Mie Tange
15
殺人事件に巻き込まれた主人公が、 弁護士である叔父から鎮憎師なる人物を紹介され、 その人のアドバイスをもとに 友人と事件を解決していく…的な(?) 事件自体は深みもあって面白かったけど、 鎮憎師の存在は必要だったか微妙。 確かにヒントはくれたけど 登場させなくても物語的には完成するし、 設定年齢が若すぎて受け入れにくかった。 憎しみの連鎖をたち切るってトコを強調したかったなら、 もっと食い込ませるべきでは? フワっと締まりなく中途半端な印象。2022/03/08
本みかん
14
憎しみを鎮めることで復讐の連鎖をとめる人の話という体なのだけれど、あんまり設定が生きていないような。人が死んで、犯人を推理しつつ、犯人に復讐思想は人も推理するのだが、無理が多かったかな。鎮憎師の設定いる?2022/01/21
なみ
13
結婚式で集まった大学のサークルの仲間たち。そこに、ある事件によって疎遠になった夏蓮も現れて──。 憎しみの連鎖を止める鎮憎師、沖田とともに、真穂とひろみは緻密なロジックで思考を進める。 意外な犯人に綺麗な推理。 石持さんらしさが存分に発揮されたミステリーでした。2021/07/14