内容説明
兄一の勤めるスーパー、デルソルの水産部門に入った新しいアルバイト・野並双太は、愛想がなく、誰とも打ち解けず、常に誰かの目を気にして、怯えているようだった。双太の正体を探ろうとしていた兄一と同僚の麻由美は、ある日、奇妙な男に遭遇する。ごま塩頭を短く刈り上げた五、六十代の、奇妙な抑揚で話すその男は、次第に奇怪な本性をあらわしていった…。
著者等紹介
最東対地[サイトウタイチ]
1980年、大阪府生まれ。2016年、『夜葬』で第23回ホラー小説大賞読者賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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大福
23
自分の人生に真剣に向き合えない主人公兄一はバイト先で出会った少し奇妙な同僚、双太に興味を持ったことから天災に巻き込まれる。タイムスリップ要素の無い「ターミネーター」という印象。無言で追ってくるのと異なり今作のターミネーターは相当ガラが悪くて、生々しい。兄一は事件をきっかけに人生に真面目に向き合い成長したようだが、双太のほうは別の意味で成長?マキシマムザホルモン愛に溢れた一作。期待せずにサクッと読むと良いかも。2020/08/25
スーヌ
10
【A】大好きな作家さん。謎のオヤジに追い回される同僚に関わって自分も巻き込まれてしまう話。また新しいホラーを開拓してくれた。果たしてこのオヤジは人間なのか?人間とそうでない物の境界が曖昧な怖さ…という点では「リカ」シリーズに近い。けれど作風も曖昧ゆえにオヤジの行動が予測不可能で恐怖を引き立てる。エピローグも予想と違ってて良かった。2021/03/02
のじ
8
なんとなく粗さを感じるし、ちょっと物足りなさを感じたけれども疾走感があってさくさく読んでしまった。マキシム ザ ホルモンってバンドの曲がからんでいるってことで、ちょっと聞いてみたけれどあまり好みではありませんでした。2020/09/27
オールド・ボリシェビク
5
初読の作家だが、意外な拾い物かもしれない。2020/08/14
りゅりゅ
4
そつなくまとまっていておもしろかった。すごく天秤が微妙誰もが遭遇しうる災難としてのホラーか、充満した差別か。乱歩の時代からそうだけどね。2023/12/25