内容説明
孤独でうつろな人生を送る男が見つけた、ささやかだけど本気の恋。それが男を地獄へと招く―。中野署管内で外食チェーン専務と店長が誘拐された。練馬署の魚住久江も捜査に招集されるが、身代金受け渡しは失敗に終わってしまう。やがて捜査線上に浮かぶ一人の中国人女性。久江は事件の背後にある悲しい真相に迫ってゆく。切なさと温かさが心に残る長編警察小説。
著者等紹介
誉田哲也[ホンダテツヤ]
1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、『妖(あやかし)の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。’03年には、『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
116
★★★★★★★★☆☆魚住久江シリーズ第2弾。会社役員らが誘拐され社長宛に身代金を要求するメールが届く。一方、孤独な人生を送ってきた村瀬は、ある中国人女性と出会い小さな幸せを夢見たことで悲惨な事件に巻き込まれていく。時系列の異なる2つのパートを交互に挿むことで徐々に事件に至った背景を描き出す手法は『ソウルケイジ』を彷彿とさせる。警察小説としてのスリルより不器用な男女の切ない恋心に重きを置いた作品。姫川シリーズに組み込めばもっと売れただろうに、加点法で人を見る久江だからこそ辿り着けた温かみのあるラストに感涙。2022/02/07
ALATA
80
誰かの死を解き明かすことより、誰かが生きていてくれることに喜びを感じる・・・およそ強行犯係の資質とはかけ離れた感覚の巡査部長、魚住久恵。警察小説でありながら不惑の中年おじさんに密かな恋愛感情も潜ませるなど珍しいタイプの読み物でした。ちょっと因縁ある金本主任、その腕をねじり上げる峰岸巡査長とキャラも立っていていい感じ★4※TV版の檀れいさんがイメージピッタリという感じ、次は姫川班でドンナ化学反応があるのか楽しみです。2024/03/19
のり
79
魚住シリーズ第2弾。成人男性二人が誘拐され身代金を要求される。金遣いが派手で自己中な男と、真面目で人を思いやる事が出来る男。上司と部下の間柄だが…犯人の目的は?カギを握る中国人女性。進展しない捜査。その裏に隠された真実。切なすぎる事情と呆れる動機。もっと良い解決法もあったはずだが、追い込まれては拒否の選択はない。この先の安寧を願う。姫川と比べれば派手さはないが、魚住ものし上がって欲しい。2020/11/10
kei@名古屋
26
あぁ優しい物語も描けるんだよな。と改めて思った。前巻の解説でこちらの女性も儚く切ない的な事が書いてあった気がするが、ラストシーンの余白は願わずにいられない。犯人は誉田さんらしく。。。な感じですが、魚住さんならではの事件ですね。姫川ではもっとバイオレンスに終わっていた気がします。このシリーズも好きになれそうです。2020/07/01
クキモン
24
大手外食産業の役員と社員が白昼堂々と誘拐される。現在進行形の犯罪にハラハラとさせられましたが、真相がわかったあとでは、主犯格の幼稚な動機と計画性にがっかりというよりまるでコメディーだと思ってしまいました。中国人の女性が可愛らしい。犯罪を未然に防ぐことが理想だとする魚住と、犯人を洗い出すのに天才的な勘を持つ姫川の、まったく逆のベクトルを持つ二人の女性刑事がどう絡んでくるのか、次の姫川シリーズが楽しみです。2023/11/27