内容説明
二十年前、ある事故をきっかけに恋人の雅子と別れた正春。母の危篤の知らせを受け、久しぶりに京都に降り立った正春は、思い出の松ヶ崎疎水を訪れ…。(表題作)おばあちゃんは詐欺師だった。おばあちゃんとの生活はずっと続くと思っていたけれど…。(第69回日本推理作家協会賞短編部門受賞「おばあちゃんといっしょ」)京都の名所が数多く登場する傑作ミステリ短編集。
著者等紹介
大石直紀[オオイシナオキ]
1958年静岡県生まれ。’98年第2回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した『パレスチナから来た少女』でデビュー。2003年『テロリストが夢見た桜』で第3回小学館文庫小説賞、’06年『オブリビオン~忘却』で第26回横溝正史ミステリ大賞テレビ東京賞、『二十年目の桜疎水』収録の「おばあちゃんといっしょ」で第69回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。TVや映画のノベライズも多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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machi☺︎︎゛
155
京都本大賞というものがあるみたいでこの本は第8回目の大賞本らしい。桜の綺麗な装丁からは想像もつかないダークな内容の短編集。だけどどんでん返しもウルっとくる所もあったりで何か新感覚な作家さんだった。京都の名所やイベントが多数出てきて楽しく読めた。わたしもキッシュを作る時は隠し味に白味噌を使うけどこの本に出てくるキッシュも白味噌が使われていて美味しそうだった。2021/05/17
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
102
「第8回京都本大賞」受賞作。京都を舞台にしたミステリー短編集。「おばあちゃんは詐欺師だった。」で始まる冒頭の「おばあちゃんといっしょ」は短編でありながら、ちゃんと伏線張って、ラストにきちんと回収。好きだなぁこういうの。表題作の「二十年目の桜疎水」はちょっぴり切ない物語。松ヶ崎疎水の満開の桜や上賀茂神社の手作り市など、京都に行ってみたくなりますねぇ。★★★+ コミュ「日本全国おすすめのご当地小説」https://bookmeter.com/communities/3381792021/01/07
へくとぱすかる
64
表紙の松ヶ崎疎水に行ったことがあるので、楽しみにしていた。短編集の中のタイトル作だけに、読後の感触がとてもよかった。ショートショートなら、まさかそんなの結末もあるだろうけど、こんなラストも最高だ。そう思うと、つくづく自分のひねくれた部分が、少しは常識に帰っていくような気がする。さてミステリとして読んだ感じは、とても不思議で、こんな感触の作品は初めて読むような気がする。大仕掛けの魔術ショーよりも、熟練したテーブルマジックに、より感激するとでもいうような。長い時間をすごした人間ほど、ドラマを持っているらしい。2022/11/16
真理そら
59
あさのあつこ先生の楽しい解説付きでお得感がある。表題作はカバーイラストの美しさにぴったりの愛の物語だが、それ以外の5編は詐欺やら凄惨な事件やらでタイトルやカバーからは思いもよらないミステリー。「おばあちゃんといっしょ」「おじいちゃんを探せ」は児童文学ですか?と思わせるタイトルなのに…。贋作師、詐欺師が登場する「仏像は二度笑う」が好きだ、この後正隆が彫る菩薩像の顔はきっと加奈さんのような雰囲気のものになるだろう。2025/04/24
のんちゃん
42
京都を舞台にしたミステリー6話所収の短編集。大石氏の作品は、以前やはり京都を舞台にした短編集を読んだ。その時も内容の意外性に驚いたが、今作はそれを上回るものだった。一番初めの『おばあちゃんといっしょ』は題名からしてその表記に謎が隠れており、読後なるほどと唸らせる。そして既読のものより読後感が良いのも嬉しい。既読作は少しなんとも言えない毒味が残ったものだった。解説のあさのあつこさんも書かれていたが、舞台が京都なのがこの作品に欠かせない要素となっている。千年の古都の美しさが物語にペーソスを加味している。2022/04/21




