出版社内容情報
入江棗[イリエ ナツメ]
著・文・その他
内容説明
鬱をはじめとする心因性の病が発達した近未来。百万人に一人の割合で発症する「嘘アレルギー」を持つ如月瑞穂は人とあまり関わることなく大学に通っていた。ある日、金をたかりにきた同級生・ふみから助けてくれた渉の一言で、発作を起こし失神してしまう。実直な性格の瑞穂を中心に、これまで交流のなかった学生たちが少しずつ変わっていく。
著者等紹介
入江棗[イリエナツメ]
東京都出身、1988年生まれ。2011年『時空警備タイムエスパー警備ファイル002 平安女流作家 紫式部』(監修・榎本秋 学研)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ami*15
49
瑞穂の「嘘アレルギー」が彼女自身や3人の大学生の日常を変化させていく。正直に言わなければならないこと、嘘は悪いことだけではないことを感じた物語だったと思います。今まで嘘アレルギーに振り回されてきた瑞穂だったけど、渉やその他の仲間との交流を通じて自分と嘘との付き合い方に気付くことができて良かったです。それにしても「嘘」という言葉が絡む物語や音楽が楽しめないのはとても辛すぎる。個人的には嘘アレルギーやふみの事情に関する説明がもう少し欲しかったし、なんとなく文章が読みにくかった作品でした。2018/10/22
yamakujira
3
通りすがりの渉が女子ふたりの会話に嘘を指摘したら、ひとりが倒れてしまった。救急搬送された瑞穂は、嘘を吐かれると発作を起こす「嘘アレルギー」だった。金をたかっていたふみ、日常的に嘘を吐く明菜も交えて、いつしか4人の交流が始まり、瑞穂の存在が3人を変えていく。嘘アレルギーって嘘を見抜く能力かと思ったら、嘘だと自覚しなければ発症しないという設定が、心因性のリアリティーを担保しておもしろい。気楽な青春小説を読みながら、社交辞令に選挙公約、商品偽装や投資勧誘、嘘にまみれた現実社会に嫌気がさすな。 (★★★☆☆)2020/03/28
Renka☆*
2
嘘をつかれてしまうことで発作を起こしてしまう「嘘アレルギー」。瑞穂の症状が悪化していくところを見るのが少し心苦しかったけれど、最後のシーンで目が潤んで、こういうジーンとする本久しぶりに読んだなって実感した。たまに偶然の出会いで見つけるこういった本、とても好き。2021/12/23
MAMI.
2
★★★☆☆2020/04/27
みけ
0
近未来が舞台でも、根底にあるのは人の純粋さだと感じました。嘘をつけない瑞穂のまっすぐさは、ときに痛いほどで目をそらしたくなるのに、同時に強く惹かれます。その純粋さに触れた周囲の学生たちが少しずつ変わっていく流れは、小さな奇跡のようでした。重い設定を扱いながらも物語には静かな優しさがあり、読み終えると胸の奥が少し軽くなるような余韻が残りました。2024/11/25




