出版社内容情報
定年を迎え十年前に消えた亭主の行方を追い上京した妙子は<谷根千>にある近江寮で料理を作ることに…。心温まるストーリー。
内容説明
定年退職を間近に控えた妙子は、十年前に消えた夫の行方を探すため東京にやってきた。慣れない土地でのひょんなトラブルから、谷中にある宿泊施設、近江寮にたどりつく。個性的な管理人や常連客の貧しい食生活を見かねた妙子は彼らの食事を作り始めるが、その料理はやがて人々を動かし、運命を変えていく。そして彼女自身も―。おいしくてせつない、感動長編。
著者等紹介
渡辺淳子[ワタナベジュンコ]
滋賀県生まれ。看護師として病院等に勤務。「父と私と結婚と」で第3回小説宝石新人賞を受賞しデビュー。受賞作を改題した「私を悩ますもじゃもじゃ頭」を収録した『もじゃもじゃ』(光文社文庫)が注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
515
読メのTLで気になっていたこちら。予想と違ってミステリー仕立てにもなっている。失踪した夫を忘れられず10年…わたしには絶対無理だけど(笑)妙子の一途な想いがいい。近江、そっか、滋賀県なんだねー。残念ながら川魚が苦手なので、彼の地の郷土料理には食指が動かなかったが、妙子の作る食堂の定食が美味しそう。そしてこの表紙画は再現せねば(笑)2023/12/30
しんごろ
226
滋賀県民のための滋賀県民には優しい寮というよりシェアハウスでの料理を通した人間模様のドタバタ話でした。滋賀県(近江)の郷土料理もでてきますし、その料理を含め、辛いこと、悲しいこと、楽しいことを含めた喜怒哀楽の中、どんな時でも食べることでなんとかなることを学ぶ物語でしたね。ぶっきらぼうなヨシ子婆さんがいいねえ(^^)個性豊かな登場人物ですが、物語としてはあっさりな感じで、個人的には物足りなさを感じましたが、試したくなる料理方があったので、それは試してみたいですね。2018/02/16
おしゃべりメガネ
164
読メのレビューにて手にとった作品です。う〜ん、なんだろう…、ステキな作品なのは間違いなく伝わるのですが、スキッと爽やか&健やか100%な感じになれない自分がいます。おそらく主役のお二人「妙子」&「安江」のキャラが最後までハマらなかったのかなぁと。特に「安江」さんに正直苦手意識みたいなものがわいてしまい、トキにイラっとさえなってしまいました。キャラもそれぞれがちょっと印象薄で、結局誰にもストライクになれず…。せっかくの料理&食事描写も輝きがイマイチ伝わらず…。なんだかとても勿体ない作品に感じてしまいました。2018/03/03
カメ吉
127
滋賀をテーマにした私にとってはご当地本でした。特に琵琶湖以外に目玉のないトコですがこの作品をよんで滋賀県人でもええやん。そう思えた。首都東京で奮闘する妙子おばさんが心地良いし健気で『近江寮食堂』を盛り立てる様は痛快でした。特に売りのない?滋賀の料理が作品を通して輝いてました。2017/11/23
お昼寝猫
120
東京下町にある滋賀県人のための宿泊施設「近江寮」に転がり込んだ、やはり滋賀県人の妙子が食堂の賄い人として奮闘する。滋賀県は琵琶湖を中心にザックリ「湖東」「湖西」「湖南」「湖北」に分けられる。成瀬シリーズは大津や膳所が舞台だから湖南にあたる。こちらの作品には「焼き鯖素麺」「近江牛の味噌漬け」「丁字麩」など湖北地方の郷土料理が出てくる。しかも冒頭にはかなりマイナーな「つるやのサラダパン」まで出てきて、湖北地方に馴染みのある私は個人的にとても楽しかった。天麩羅(家庭料理の天麩羅に限る)にソースもアリだ😁2024/03/03